政治ジャーナリスト、田﨑史郎氏が2月15日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。今年9月にも解散総選挙がある可能性について解説したうえで、理由の1つとして「岸田文雄首相は、菅義偉前首相や安倍晋三元首相より権力への執着が強い」と指摘した。
辛坊)田﨑さんが9月の解散総選挙説を唱えていると聞きました。
田﨑)はい、唱えています。
辛坊)その根拠は何ですか。
田﨑)解散時期を判断するときには、2つの政治日程を押さえなければなりません。それが、自民党総裁選と衆院議員の任期です。総裁選は2024年9月に行われ、岸田文雄首相の総裁任期が切れます。一方、現在の衆院議員の4年任期が切れるのは2025年10月です。仮に24年9月時点で解散総選挙をしていないとすると、総裁選は次の衆院選における自民党の顔を選ぶ選挙になるわけです。すなわち、人気投票になります。そうなると、立候補するだろう河野太郎さんのほうが次期総裁として有力視されると思います。
岸田さんは自らの実績を上げていらっしゃいますが、なかなか人気がついてきません。一方、総裁選が行われる24年9月時点での自民党議員の心理としては、「自分が当選するためには、誰が総裁のほうがいいか」を考えるわけです。当たり前のことですね。このまま岸田さんの人気が上がらないと、自民党議員は岸田さんの実績よりも河野さんの人気に頼ろうとするのではないでしょうか。
辛坊)なるほど。
田﨑)河野さんに関しては、「ちょっと危ういな」「暴走しがちだな」という不安が自民党議員の間にはあるでしょう。しかし、「とりあえず自分が選挙に当選するために一番いい人は河野さんだろう」という発想があるはずです。
辛坊)ということは、このまま解散総選挙をせずに24年9月の総裁選に突入した場合、岸田さんの任期はそこで終わりという先行きが見えてくるわけですね。岸田さんとしては、総裁選までに解散総選挙を仕掛けて自民党が勝てれば、首相を続投できるという思惑があるということですか。しかし、そもそも岸田さんは長期政権を目指している人なのでしょうか。
田﨑)そうだと思いますよ。権力に対する思い入れ、執着という点では、安倍晋三元首相や菅義偉前首相よりも、岸田さんのほうが強いと思います。
辛坊)そうですか。だからこそ、何でも検討する人なのかもしれませんね。人間のタイプというのは、分からないものですね。
田﨑)岸田さんは22年暮れのテレビ番組で、22年に最も見たテレビ番組を問われ、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」だと答えたんですよ。「鎌倉殿の13人」は権力闘争の真骨頂を表したストーリーです。その権力闘争ドラマを最も見たということは、自分自身もその中にいる人なんですよ。つまり、権力闘争の中で勝ち抜いていくタイプだといえます。はたから見える姿とは全く違った政治家なんだろうと思います。
辛坊)見かけは何となく、のほほん、ぼーっとしているように見えますが、中身はそうではないということですね。
田﨑)そうではないと、総裁選を勝ち抜けません。今も、何度たたかれても頑張っているではないですか。
辛坊)とはいえ、勝てる見込みがなければ、解散総選挙には踏み切らないですよね。
田﨑)そうですね。
辛坊)今年9月に解散総選挙を仕掛けたとして、果たして現有議席以上を獲得できるという公算があるのでしょうか。
田﨑)現有議席以上ではないかもしれませんが、自民党と公明党で過半数、もしくは自民党単独で過半数を獲得できるかもしれないですよ。
辛坊)自民党単独で過半数を獲得できれば、現有議席をだいぶ下回っても、勝ちは勝ちですね。
田﨑)選挙の相手は、それこそ支持率の低迷している野党です。その野党は今、バラバラの状況で、選挙協力もしそうにもありません。岸田さんから見ると、解散総選挙で勝つハードルと、総裁選で勝つハードルのどちらが高いかといえば、総裁選で勝つハードルのほうが高く見えているのだと思いますよ。
辛坊)ということで、9月にも解散総選挙があるのではないかということです。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)