キャスターの辛坊治郎が2月21日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。アメリカのバイデン大統領が20日、戦禍のウクライナを事前の予告なしに訪れたことをめぐり、「日本の首相に電撃訪問は無理だ」と指摘した。
アメリカのバイデン大統領は20日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を事前の予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。バイデン大統領がウクライナを訪問したのは、ロシアが昨年2月24日にウクライナ侵略を開始した後では初めて。侵略から1年となる直前に、対ロシアへの連帯を強調したとみられる。
辛坊)世界はかなり驚いていますね。侵略を始めたとき、ロシアのプーチン大統領が考えていたのは、次のようなシナリオでしょう。1年後にはウクライナ全土がロシアの領土になり、ゼレンスキー大統領は海外に亡命しているだろうから、直接支配でも傀儡政権でもいいからキーウに自らの足で立ち、ロシアの新皇帝として自分をアピールするという夢を描いていたのだと思います。
ところが、侵略から1年を目前にしてキーウに立ったのは、西側の名手であるアメリカのバイデン大統領でした。これには、ものすごく意味があります。ですから、バイデン大統領としては、かなり無理をしてウクライナを訪れたのだと思いますよ。
アメリカの大統領は、日本の首相ほどメディアや国会議員らからの監視は厳しくありません。これに対し、日本の首相は記者がいつも張りついているうえ、国会日程にもかなり縛られます。例えば、国会開会中に海外へ行こうものなら、「国会軽視だ」と非難されます。そういう意味では、岸田文雄首相は本来、年末年始のウクライナ行きを狙っていたはずですが、うまくいかなかったのでしょう。どうやら、ウクライナ行きについての話を首相官邸で誰かと交わしたところ、すぐに漏れたらしいですね。
たとえ、日本の首相が戦禍のウクライナへ行ったとしても、憲法上、法律上の制約があまりにも大きいので、ウクライナが目先で求めているような貢献はできません。それよりも、将来的に戦争が終わった際に、日本がいくつもの震災に耐えて復興したノウハウが役立つはずです。ですから今、あえて無理をして行くことはないと思います。
ただ、先進7カ国(G7)の中で、ウクライナの地を踏んでいない、ゼレンスキー大統領に直接会っていないのは、日本だけです。岸田首相の心中を慮ると、「できることなら行っておきたい」とは思っているはずです。しかし、日本国内の環境や行程の安全を守るためのシステムなどを考慮すると、バイデン大統領のような極秘での電撃訪問は日本の首相には無理です。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)