職員は禁止だが、インフルエンサーはホワイトハウスに招くアメリカの「TikTok事情」

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地政学・戦略学者の奥山真司が2月28日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。政府職員が使用するスマートフォンなどの公用端末において、機密情報を扱う機器を対象に利用を禁止した中国系動画投稿アプリ「TikTok」について解説した。

職員は禁止だが、インフルエンサーはホワイトハウスに招くアメリカの「TikTok事情」

TikTok(ティックトック)のアプリが表示されたスマホの画面=2020年8月2日、東京都 写真提供:産経新聞社

公用スマホでのTikTok禁止

松野官房長官は2月27日の記者会見で、中国系動画投稿アプリ「TikTok」をめぐり、政府職員が使用するスマートフォンなどの公用端末のうち、機密情報を扱う機器を対象に利用を禁止していると説明した。また、その他のSNSなどの利用も禁じているとした。

中国国内で使われているTikTokのアプリは日本国内のものとは異なる

新行)EUの欧州委員会が職員の公用端末での使用禁止を決定したことを受け、政府の利用状況を尋ねる質問に答えたものです。

奥山)TikTokについては、いつも矛盾しているなと思います。TikTokは中国の起業家がつくったものですので、中国との関係はあるのですが、中国国内では、我々が使っているTikTokは使えないのです。中国国内には、別のTikTokのアプリがあります。

新行)我々が使っているものとは違うTikTokのアプリがあるのですか?

奥山)切り分けられているのです。アメリカで大発展したアプリなのですが、中国との関わりもある。しかし、本質的にはとてもアメリカらしいところがあります。でも、中国と関わりがある……すごく矛盾しているところです。

アメリカでは約2億人がTikTokを利用

奥山)もちろんセキュリティ問題として、公用端末で使わないのは妥当だと思いますが、あまりにもアメリカ国内で広まりすぎてしまっている。アメリカの人口は3億3000万人くらいですが、約2億人が使っていると言われています。日本で言うと、LINEと同じくらい広まっているアプリなのだと思います。

TikTokのインフルエンサーをホワイトハウスに招いて利用するバイデン政権 ~職員は使ってはいけないのだが

奥山)ホワイトハウスや、州の公的機関の人たちの携帯に入れてはいけないことになっているのですが、バイデン政権はTikTokのインフルエンサーにリーチしたいので、TikTokのインフルエンサーをホワイトハウスに招いています。ブリーフィングを行い、「バイデン政権はこういうことをやるから、君たちは変なことを言わないでね」とデジタル戦略担当者が教えているらしいです。職員に支給されるスマホでは使えないのですが、TikTokのインフルエンサーは利用したいのでしょう。

新行)インフルエンサーは利用したい。

奥山)ですので、TikTokを使わなければいけない側面があるのも、アメリカ政権側はわかっているのです。

州立大学でも校内でのTikTok禁止

奥山)もう1つ気になるのは、9つくらいの州で、州の人間、もしくは州の携帯ではTikTokを使ってはいけないことになったのですが、州立大学も突然、キャンパス内のWi-FiやルーターでTikTokが使えないようにしたのです。

新行)大学でも。

奥山)例えばアラバマ州のオーバーン大学は州立大学ですので、州の禁止に伴い、キャンパス内でTikTokが使えなくなり、大騒ぎになったということです。

新行)TikTokが使えず。

奥山)日本で言えば、LINEが使えなくなるのと同じ感覚だと考えたら、かなり深刻ではないかと思います。

新行)LINEが使えなくなると大変ですね。

奥山)最終的には、ネットを中国やロシアと別の体系にして、西側陣営は1つのオープンなインターネット、向こうはクローズなインターネットとして分けなければならない。「別のネット体系をつくらなければいけないのではないか」ということが示唆されています。

新行)最終的には。

奥山)もしかしたら、こういうところから分離していくのだろうなと。日本も狭間に立って悩むことになるのではないでしょうか。

若者に圧倒的に人気のあるTikTok

新行)自治体や企業で広報のためにTikTokを使っているところもあると思いますが、そういうところはどうなのでしょうか?

奥山)使えなくなってしまうかも知れませんね。ただ、TikTokは若者に圧倒的な人気があります。自民党がTikTokにリーチしていなかったため、若者に政治的な活動を周知できなかったという事実もあります。私も含めて上の世代の人たちはYouTubeを観ることが多いのですが、いまの若者はYouTubeを観ません。TikTokしか観ない。政治面からそちらにリーチする必要があるのです。

新行)TikTokの他にもいろいろなSNSがありますが、情報戦などに巻き込まれていく可能性は十分あるわけですよね。

奥山)実際に、TikTokは中国側に都合のいいニュースを流しています。国内では禁止しているのに、外でのリーチにはTikTokを使うというのは、それだけ広まっているからです。

新行)そうやって巧みに使われる可能性もある。

奥山)あると思います。

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