林外相の「G20外相会合欠席」は日本の国益を損なうのではないか
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地政学・戦略学者の奥山真司が2月28日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。林外務大臣のG20外相会合欠席について解説した。
林外相、G20外相会合への出席断念
新行)インドで開かれる20ヵ国・地域(G20)外相会合への林外務大臣の出席について、与野党が「2023年度予算案審議への出席を優先すべきだ」と難色を示していましたが、2月28日に共同通信から入ってきた記事によると、「出席を見送る方針を固めた」ということです。
奥山)そうなのですね。
新行)2023年度予算案の審議日程と重複しそうなため、国会を優先したということです。G20の会合には林大臣の代わりに、外務副大臣を派遣する方向ですが、G20議長国であるインドの政府関係者は、先進7ヵ国(G7)議長国である日本の外務大臣の欠席に「信じられない。日本外交にとって損失だ」と指摘しているとのことです。
国際会議で外務大臣が発言することは国益につながるのだが ~国内の予算案審議を優先
奥山)本当に損失ですね。G20だけでなく、そのあとにはクアッドの外相会談もあるのです。G20で西側や東側だけではなく、グローバルサウスを含め、インドとも関係性をつくる。なおかつクアッドも開催されるので、外交パッケージとしては魅力的であり、外務大臣が直接行って発言することは国益につながると思いますが。
新行)そうですよね。
奥山)国内の予算案審議を優先してしまうのは、どうなのでしょうか。
2022年にも鈴木財務相がG20財務相・中央銀行総裁会議に国会審議を優先して欠席
奥山)以前も鈴木財務大臣が2022年度の予算案審議を優先し、インドネシアで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議を欠席しました。
新行)国会審議を理由に。
奥山)そのときに野田元首相が、「重要な会議なのになぜ政治家が出ないのだ」と批判しています。
新行)ありましたね。
奥山)もちろん、国内の予算は大事な部分ですが、国内問題を優先しすぎてG20に、しかもクアッドにも出ないというのはいかがなものでしょうか。
他の先進国とは異なる日本
新行)1999年に国会審議活性化法で、閣僚の代わりに副大臣や政務官が国会で答弁できる制度が導入されたのですが、形骸化しています。
奥山)首相も含めて、日本の閣僚は国会に出なければいけないとされています。「出なくてもいい」というわけではありませんが、外務大臣にとって大事な、国益にもつながるG20に行かせないところは非常に残念です。
新行)そうですね。
奥山)ドイツのメルケルさんなどは、ほとんど国会で答弁していないのです。日本だけがやたらとトップの人たちを国会に出席させ、ギリギリ締め上げ過ぎているのではないでしょうか。
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