北アイルランド問題を解決しようという英国側の強い意志 ~英・EUが北アイルランドの貿易協定で合意

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地政学・戦略学者の奥山真司が2月28日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。イギリスとEUが合意した北アイルランド物流問題について解説した。

北アイルランド問題を解決しようという英国側の強い意志 ~英・EUが北アイルランドの貿易協定で合意

ロンドンの首相官邸前で演説するスナク英首相 2022年10月25日(ゲッティ=共同)

イギリスとEUが北アイルランドの通商ルールをめぐる物流問題で「合意」を発表

新行)イギリスのスナク首相と欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長は2月27日、イギリスのEU離脱(ブレグジット)をめぐる争点になっていたイギリス領北アイルランドの物流規則をめぐって合意したと発表しました。

北アイルランド紛争

奥山)イギリスと言うと先進国であり、一般的なヨーロッパの安定した国というイメージがありますが、北アイルランドの歴史を紐解くと、ずっとテロが行われていて、北アイルランドとアイルランドのなかで抗争が続いていたのです。

新行)北アイルランドでは。

奥山)私は学生時代にシンクタンクの関係で毎月イギリスへ行っていたのですが、そのときに、北アイルランドの辺りで頻発しているテロとの戦いには、長い時間が掛かるという話を聞きました。

新行)長く掛かる。

奥山)イギリス側の警察を務めていた人がいて、「私は20年間、そこでクリーニング店を開いていた」と言うのです。警察官なのですが、IRAというアイルランド側のテログループのアジト前でクリーニング店を営んでいた。

新行)警察官なのに。

奥山)テログループは爆弾などを開発しているわけではないですか。その火薬の反応が出るかどうかを、クリーニング店に扮して調べていたのです。向こうも「クリーニング店の人間は警察だろう」と、ある程度はわかっているのですが、そのなかで調査する。

新行)クリーニング屋さんになって。

奥山)20年間、ほぼクリーニング店の人間として生き、警察官ではないような状況が生まれているのですが、実態としては長く潜入して、北アイルランドでのテロリストに対して活動していくという。「粘り強いことをやるのだな」と、とても印象的でした。

イギリスのEU離脱後もEU単一市場に残された北アイルランド

新行)そもそもの部分を考えると、イギリスは2020年末にEUを完全に離脱しました。このとき、国を構成する4つの地域のうち、EU加盟国のアイルランドと唯一陸続きの北アイルランドだけは、事実上の特区としてEUの通商管理下に引き続き残ることになった。

奥山)イギリスのすぐ隣のアイルランドでは、ユーロが使えてしまう。EU圏があるというところが複雑さを増していると思います。

新行)今回、イギリス本土から北アイルランドに持ち込まれる食品などについて、EUの規制に基づく厳しい検査や通関手続きを一部免除し、輸送の時間や費用を削減できるようになりました。

奥山)そうですね。そういうところも含めて、北アイルランドの問題は解決しようという、イギリス側の強い意志を感じます。

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