東日本大震災から12年。「浪江町のいま」について内田雄基アナウンサーが取材。3月10日のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」でレポートした。
「住みたい田舎ベストランキング」人口1万人未満の町部門で全国総合2位に輝く浪江町
飯田)今回は東日本大震災から12年が経った福島県・浪江町の現状を、内田アナウンサーが取材しました。
内田)浪江町は福島第一原発のある双葉町と大熊町の北側に位置する町です。2011年3月11日の原発事故以降は全町避難となり、2017年3月に避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示が解除されました。数年前から再び動き出した浪江町ですけれども、実は全国で2位になったものがあります。飯田さんはご存知でしょうか?
飯田)何でしょう、全国で2位というのは?
内田)実は、浪江町は「住みたい田舎ベストランキング」人口1万人未満の町部門で、全国総合2位に輝いているのです。
飯田)そうなのですね。
内田)でも、なぜ数年前に再び動き出したばかりの浪江町が注目されて、住みたい田舎として人気を集めているのでしょうか? 吉田栄光町長にインタビューさせていただきました。
浪江町の将来を考えると「ワクワクする」と言う若者が浪江町に移住
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吉田町長)移住してみたい町、当町が2番になったのです。実際に浪江に来てもらって、「え? どこが2番なのだ?」と思うでしょう。若い人たちが「将来を想像するとワクワクする」と言うのです。新しい町をゼロからスタートして、5年間で約2000人の人口に復活し、「もっといこうぜ」と、とてつもないことを考えているのは、日本ではこの辺りの地域しかないからだと。若い人は、そういう視点で見るとワクワクするのですよ。
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起業する若者には浪江町からサポート ~移住にもサポート
内田)「未来を考えるとワクワクする」と言う人たちがたくさんいるというお話でした。実際に町外から浪江町に移住して起業した方に話を伺いましたけれども、「移住するときも起業するときも、浪江町からのサポートがあった。浪江町はとても静かで仕事に集中できる町なのだ」と話していらっしゃいました。
飯田)起業する人へのサポートがある。
内田)「起業したい」というやる気に満ち溢れた若い世代の方が、浪江町にワクワクしているという話もありましたけれど、浪江町に魅力を感じているのは移住者の方だけではありません。
なみえ水素タウン構想
内田)浪江町には、皆さんの知るような大企業も来ています。それは浪江町が企画する「なみえ水素タウン構想」に秘密があるのです。
再生可能エネルギーを水素に換え、町全体で水素の活用方法を実験
内田)なみえ水素タウン構想は、町のなかにある「福島水素エネルギー研究フィールド」という施設で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを水素に換え、再生可能エネルギーの弱点である保存や運搬ができるようにするという計画です。
飯田)水素に換えることで。
内田)町のなかで水素をつくり、運んで使うことで、CO2の排出を実質0にする。ただ、技術面や法規制、コスト面など、課題は山積しています。それを実現するために、町全体で実証実験を行う。その実証実験に、東芝や岩谷などの有名企業や大企業が参加しているのです。
飯田)実証実験を。
内田)この実験は一般家庭に燃料電池を設置し、水素ガスをカートリッジにして一般家庭に配ります。その水素ガスで電気を起こして使ったり、送電線のように電柱の上にパイプラインを通して水素を配るなど、町全体で「水素をどのように活用していくか」を実験しているのです。
飯田)なるほど。
内田)東京大学や横浜国立大学などの大学も実証実験に参加しており、産官学が一体となって「なみえ水素タウン構想」をつくっています。まさに未来に向けて動く浪江町に、人や企業がワクワクして集まってきているのです。
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