「米中の両方に軸足」を持つ台湾の動き 蔡英文総統と馬英九氏「それぞれの訪問」

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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が3月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾の外交と日本が考えるべきことについて解説した。

「米中の両方に軸足」を持つ台湾の動き 蔡英文総統と馬英九氏「それぞれの訪問」

2023年3月27日、中国・上海の空港に到着した台湾の馬英九前総統(中央)[馬英九前総統事務所提供] 写真提供:時事通信社

台湾の蔡英文総統がニューヨークに到着

中米を訪問する台湾の蔡英文総統は3月29日、経由地のアメリカ・ニューヨークに到着した。蔡総統はニューヨークに立ち寄ってから3月31日に中米グアテマラ、4月2日に中米ベリーズを訪問する予定。台湾に戻る際はアメリカ・ロサンゼルスを経由し、マッカーシー下院議長と会談を行う見通し。

一方で馬英九氏は武漢を訪問

飯田)中国はこれに対してかなりプレッシャーを掛けているようです。アメリカに立ち寄るのは恒例のようですね。

松井)3月30日付で産経新聞が、台湾の蔡英文総統と中国国民党の馬英九前総統についての記事を書いています。

飯田)馬英九氏は中国を訪問していますね。

松井)武漢を訪問し、中国の高官と会談したようです。蔡英文総統も馬英九氏も「英」という字が付くので、台湾メディアでは「双英対決」として比較しているところもあるようです。台湾も一色では語れないところがあります。

国内的な対立事情が背景にあるものの、米中の両方に軸足を持つ動きをする台湾

松井)おそらく国内的な対立事情が背景にあるのでしょうけれど、結果として両方に軸足を持っているわけです。

飯田)アメリカと中国に。

松井)国と言ったらいけないのかも知れませんが、私たちは民間人なのであえて言わせてもらうと、台湾は私たちから見れば友好国です。中国と比較したら小国ですよね。

飯田)台湾は。

松井)小国が大義名分だけでなく、実質的なことも見ながらいかに動くかという意味では、注目すべき動きだと思いました。

結果的に和戦両様の構えを取ることになる台湾の動き

飯田)馬さんの動きをだけを見ると「ずいぶん親中だな」と思うけれども、台湾全体から見ると、ある意味で一辺倒にならない形をつくっている。

松井)場合によっては、それが悪い方向に作用する場合もあると思います。しかし、日本もそうですが、ミドルパワーの国がどのように諸国とのバランスを考えながら付き合っていくか。

飯田)いろいろなバランスを考えて。

松井)それが外交だと思うのです。中国やロシアに対しては毅然たる態度を取るべきだと思うけれど、将来的には、日本は途上国とどういうパイプを持つかを考えなくてはならない。単にアメリカの言いなりではなく、日本の独自性を「キラッ」と見せておいた方がいいと思うのです。

飯田)独自性を。

松井)中国が中南米などを取り入れてオセロ返しをしていき、台湾が追い詰められているところもあります。本当に2025年に海峡問題が、習近平体制で現実化するのではないかと。そういうなかで活発に動いていることはわかるのです。

飯田)台湾も。

松井)他方、外交では複眼的な視点を持たなければいけないという意味で、これが統合された戦略かどうかはわかりませんが、結果的に台湾が和戦両様の構えを取ることになっているのは興味深いですね。

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