「草の根」の基盤を選ぶ地方選挙 統一地方選前半戦スタート
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が3月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。統一地方選挙について解説した。
41道府県議選と17政令市議選が告示
統一地方選の前半戦となる41道府県議選と17政令市議選が3月31日に告示された。既に選挙戦に入った9道府県知事選や6政令市長選とともに、4月9日に投開票となる。
飯田)いよいよ統一地方選が本格的に始まります。かつて社会の教科書などには、民主主義の学校だとして載せられていました。地域の問題などをみんなで議論し、代表を決めていくのだと。論点は各々の地域によって違うでしょうが、政治全体から見ても投票率など、いろいろな論点があります。
草の根の基盤を選ぶ地方選挙
松井)候補者の数を見ればわかるのですけれど、自民党が圧倒的に多いのですよ。桁が違うでしょう。これが日本の政治の下部構造です。
飯田)自民党は前回並みの約1300人、立憲民主党はおよそ70人増の約250人、維新の会が約150人。維新の場合、大阪維新の会が地域政党扱いで別枠になるので、それを含めても約210人であり、確かに桁が違います。
松井)要するに、「ほぼ自民党」なのです。むしろ地方議会においては、自民党のなかの主流派と非主流派が競っている感じです。
飯田)候補が何人も立つような分裂選挙が、知事選などでも起こっています。
松井)国会議員の選挙基盤も、基本はこういう地方議員の方々です。ここの根強さが、自民党が幅広いウイングを押さえているところです。要するに地域の代表者、地域の世話係の方々なのです。
飯田)地域の代表者。
松井)県議会議員などはもう少し大きいですが、市議会議員、町議会議員などは実はあまり党派性がなく、地域の世話をしている方々が出ている。それが自民党の強みです。
飯田)そこが自民党の強み。
松井)小沢一郎さんがかつて民主党の幹事長を務めていたとき、「知事選挙と市長選挙では絶対に相乗りするな」と言っていたのは、自民党には必ず「主流・非主流」のようなものがあるから、大勢すぎて拮抗する。だからそちらのもう片方を獲るのだと。
飯田)相乗りしないで。
松井)要するに自民党を割りにいかなければ、草の根の基盤をつくれない。草の根の基盤を選ぶのが今回の地方選挙です。だから、すごく大事な選挙なのです。
小規模ながらも地方議員がきちんといる野党には「根っこ」がある
松井)それに対して、野党がどう挑んでいくのかが問われています。しかし、数的に駒が揃わない。日本でなかなか二大政党制が根付かない理由はそこにあります。だからかつて小沢さんが、そこに楔を打ち込もうとしておられた。いまはそういうことをする人が他にいないですね。
飯田)維新の会などが「この地方選こそ」と言うのも、その部分だと。
松井)大阪で維新はそういう形でやっています。いまの馬場代表も完全に自民党ですよ。亡くなられた中山先生の秘書を務めていましたから。
飯田)中山太郎さんの。
松井)大阪ではそれが起こっているのです。ある種の二大政党というか、むしろそれを凌駕するようなことが起こっているのは、それが根っこにあるからです。私がかつて所属していた旧民主党はそういうものがなく、国会議員に対して同じ行政区で2人しか地方議員がいないようなところがありました。自民党はもう……。
飯田)何十人もいるという。
松井)それが自民党の強さです。しかし、公明党や共産党は小規模ながらも地方議員がきっちりいます。
飯田)地方議員を大事にして重視しますね。
松井)野党としての規模が大きいかどうかは別にして、根っこがある。それはいまの立憲民主党と国民民主党が学ばなければいけない点だと思います。
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