経済アナリストのジョセフ・クラフトが4月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。OPECプラス各国が5月から行う原油の自主減産について解説した。
OPECプラス各国、原油116万バレルを5月から自主減産 ~中東でもアメリカの影響力低下の表れ
飯田)OPECプラス各国が5月から原油を自主減産します。サウジアラビアは5月から年末にかけて、自主的に日量50万バレルを減らすと発表しました。追随する国も出てきているということです。
クラフト)これは中東によるアメリカ離れではないかと思います。サウジアラビアとイランの外交関係正常化についても中国が仲介して、アメリカは蚊帳の外でした。今回もアメリカの見解をまったく気にせず減産したということは、アメリカの中東での外交と影響力が、著しく低下していることの表れではないでしょうか。
原油価格が上がることでロシアの収入が増え、ウクライナ戦争が長引く結果に ~アメリカの外交戦略の失敗
飯田)油の値段が上がってしまうことになると、アメリカのガソリン価格も上がり、政権にとっても打撃になりますよね。
クラフト)世界経済への影響ですが、もう1つ懸念されるのはウクライナです。ロシアの財政が悪化していたなかで、原油価格が上がれば収入が増えるため、ロシアに再び余裕が出てきます。そうすると戦争が長引いてしまう。これも悪影響の1つです。
飯田)ウクライナでの戦争が長引く。
クラフト)サウジアラビアとしては、いままではアメリカに寄り添っていたけれど、バイデン政権とはそりが合わない。そうするとロシアに近付いて中国を取り込んでいくことになります。アメリカの外交戦略が失敗しているのではないかと思います。
世界経済が減速するなかでこれ以上、原油の需要を下げたくないOPECプラス各国
飯田)中東離れはアメリカ側の方でも言われていましたが、中東諸国が業を煮やしている部分もあるのでしょうか?
クラフト)地域の安全保障をアメリカが担ってくれないので、自分たちで地域の安全保障の安定化に臨まなくてはいけないのです。もう1つ言えるとしたら、今回のタイミングは、世界経済が減速しているということがあります。そこに欧米の金融危機も入ってきた。OPECプラスの国々としては需要の低下を止めたい、価格の下落を止めたい思いもあったのではないでしょうか。
飯田)需要が落ちてくるから、それに合わせて減産しなければいけないということですね。
クラフト)OPECプラスとしては1バレル当たり大体70~80ドル台で安定させたいという思いが、今回の措置から伺えます。
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