アメリカが「同盟国への諜報活動」を行っている事実を日本も認識するべき

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地政学・戦略学者の奥山真司が4月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ニューヨーク・タイムズが報道した流出文書について解説した。

アメリカが「同盟国への諜報活動」を行っている事実を日本も認識するべき

2023年1月12日、日米首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202301/13usa.html)

アメリカがウクライナの支援めぐり韓国政府を傍受か

ロシアによるウクライナ侵攻をめぐるアメリカ軍の機密文書がSNSに流出したとされる問題で、ニューヨーク・タイムズ(電子版)は4月9日までに、アメリカが韓国政府内の議論を傍受していたことを示唆する内容も流出文書に含まれていたと報じた。

飯田)ウクライナの主力システムの弾薬枯渇のニュースと、根本は同じ問題です。

アメリカでも同盟国への諜報を行っている ~日本も行われていると考えるべき

奥山)これは諜報やインテリジェンス、スパイの話です。我々が覚えておかなくてはならないのは、大前提として、アメリカのような国でも「同盟国に対して諜報活動を行っている」ということです。

飯田)アメリカでも。

奥山)ただ今回、それが判明してしまったではないですか。アメリカ側としては情けない事態で、韓国に借りをつくってしまった状況です。韓国だけでなく、日本もおそらくやられているという前提に立って考えるべきです。これをもとに韓国側は、アメリカ側に何か譲歩を迫るべきだと思います。

飯田)以前もエドワード・スノーデンさんによる「スノーデンの警告」がありました。そのときも日本が情報を傍受されていたという話が出ましたね。

奥山)こういうことが行われているのは、国際政治において大前提です。

武器輸出に積極的な韓国

奥山)2つ目に、韓国は武器輸出国になっています。ポーランドが次に使う戦車をどうするかというときに、最終的にはドイツになりましたが、「韓国側の戦車を入れるのではないか」という話もありました。韓国は武器輸出に関して、かなり積極的に行っているという現実があります。我々はこれを認めなければなりません。

戦略において、財政や国民、同盟国の支援が大事

奥山)3つ目ですが、この手の話を聞くたびにいつも思い出すのは、私も翻訳したことのあるマイケル・ハワードさんがおっしゃっていた有名な話です。「戦略を考えるときに、我々軍人は作戦や技術の話ばかりして、それを支えている兵站や社会を見すごしがちではないか」というものです。

飯田)兵站や社会を見すごしている。

奥山)例えば、車を買うとします。車を買うときはウキウキして、この車をどのように使おう、買ったらどこに行こうかなど、ポジティブな面ばかり考えますよね。

飯田)そうですね。

奥山)しかし、買ってから大事になってくるのは、税金やガソリンなどのランニングコストをどうするかということです。

飯田)乗るためのお金を。

奥山)戦争もそれに似ている部分があります。今回のウクライナ戦争でも、最初は「作戦や技術をどのように使うか」と軍人側は考えるのですが、長期戦になると最も大事なことは、「国民がいかにその作戦を支えるか、武器弾薬をいかに調達するか」という、兵站や社会の部分なのです。

飯田)戦争においても。

奥山)先ほどの例で言えば、家族の財政状況などが車を持つときの大事な要素になります。奥さんに相談しないで勝手に買うと、大変なことになりますよね。

飯田)勝手に高いスポーツカーなどを買うと、「うちは家族が6人いるのにどうやって乗るのよ!」となる。

奥山)軍事でも同じような状況があります。確かに国家としてはスポーツカーのようなものを買いたくなるのですが、実際に大事なのは、それを支える財政や国民であり、熱心に支援してくれるかどうかの問題は、戦略を考えるときに必ず出てくることなのです。

飯田)財政や国民の支援があるかどうか。

奥山)物量や資源など、それを支える社会面での要素を我々は直視したくないのですが、直視しなければならない。それが今回のウクライナ戦争においても出てきたのだと思います。「社会や国民、それを支える同盟国の支援は大事だ」という話です。

戦いの背後にある大戦略のレベルも大切 ~同盟国の協力や物資の供給の仕方など

飯田)ウクライナの例で言えば、ポーランドがある意味で集積基地のようになり、そこから武器等を入れる。岸田さんのウクライナ訪問ルートもそこからでした。

奥山)そうなると、ポーランドがウクライナやアメリカにとって、いかに大事かということです。西側にとってもポーランドの価値が上がっていることにもなります。

飯田)ポーランドの価値が上がっている。

奥山)実際の戦いの部分も大事ですが、その背後にある大戦略のレベルも大事ではないかと思います。ウクライナが戦っていることも大事であり、それ以上に大事なのは、周りの国の協力やアメリカが支える物資。そして、どこを通してその物資を供給するのかということです。

台湾有事の際、日本の社会がその事態をどこまで直視できるか、国民に戦う覚悟があるのか ~最終的に問われてくる

飯田)台湾有事を考えたときに、海を使うとなると、どのようにするのか。

奥山)沖縄がいかに重要かということですよね。

飯田)それを牽制するために、中国軍は空母「山東」を太平洋に出してまで演習を行ったのだな、ということもわかりますね。

奥山)日本では、反撃能力や武器の話ばかりしていますが、実際は日本社会がどこまでその事態を直視できるのか、国民に覚悟はあるのか、というところが最終的に問われるのではないかと思います。

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