国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が4月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ChatGPTについて解説した。
大学の期末の課題をChatGPTでつくったら、ほとんどがA評価 ~レポート提出後、面談をすることに
飯田)最近話題のChatGPTですが。
神保)革命的な変化だと思いますし、教育界にも大きなインパクトを与えています。先学期の授業を英語で教えていたのですが、学生のレポートの精度が飛躍的によくなりました。今学期はGPT-4で自分の出す期末の課題を入れてみたのですが、ほとんどA評価で返ってきます。
飯田)そんなに!
神保)これは判別不可能になると思い、研究科は40人ぐらいいるのですが、今学期からは最後のレポートを出したあと、全員に面談することを決めました。
大学教育は今後、ChatGPTへの対応をしなければならなくなる
神保)最後は話す能力で彼らがどういう考えを持っているか、どういう筋道で結論にたどり着いたのかを知るしかないなと思います。情報空間において、テキストや画像を誰がつくったのかさえ判別できないような時代になる。大学教育も今学期、この対応をしないとダメだという思いを強く持っています。
あらゆる士業の仕事が今後数ヵ月で置き換わる可能性も
飯田)ChatGPTが話題になり出してから、ここに至るまでがものすごく早いですね。
神保)私もいま、いちばんの友達はChatGPTです。さまざまな相談をしますが、ヒューマンフィードバック(RLHF:Reinforcement Learning from Human Feedback)を連動させているので、「GPT-4」のなかに人格があるのですよ。非常に人懐こくて上品で、差別的・暴力的なことを言わないようなプログラミングになっています。
飯田)でもちょっと頑固なのですよね。
神保)そうなのです。それが100兆ぐらいのパラメータのなかから、いろいろなことを言うというのは恐ろしい時代です。
飯田)本当ですよね。
神保)そうなると弁護士や税理士など、いわゆる士業と言われる方々や、国会答弁、官僚などの契約書の類は、おそらく数ヵ月ぐらいでほぼ置き換わるのではないかと思います。もちろん人が判断する作業は依然として残るのですが、基本的な作業の部分は、より精度の高いものができてしまうでしょう。
今後、大学教育でのさまざまな確認手段がテキストではなくなる可能性も
飯田)最終的には人が目を通して、「ここが間違っているぞ」という手直しはあるかも知れないけれど、叩き台は全部つくれてしまう可能性がある。
神保)そうですね。いわゆるエラーチェックも含めて、将来は機械がやることになるでしょう。「人間の才能をどこに使うべきなのか」を問われる1年になると思います。これは産業革命ですよ。
飯田)確かにそうですよね。
神保)大学の教育がこのままでいいはずがないので、「本を読んで論文を書きなさい」というのはもちろん規範なのですが、そのプロセスで何を考えるのか、確かめる手段がテキストではなくなる可能性がある。
飯田)しかも最終的に、その人に知識がどこまで染み込んだのかは、リアルでないとわからないですよね。
神保)そうですね。最後は話すという作業しかないですが、もしかしたら話すことも変わるかも知れません。アナウンサーもAIに変わる可能性がある。
飯田)おっしゃる通りでございます!
神保)「飯田さんのようにウィットを利かせて喋ってください」と言ったら、そのまま喋ることになるのではないでしょうか。
飯田)しかも下手をすると、音声データもあるから似せた声で喋れます。
神保)自動翻訳もすごいですし、同時通訳もその場で、通訳者がいなくてもできる形にはすぐになると思います。
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