エコノミストで複眼経済塾塾頭のエミン・ユルマズが3月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の社会におけるAIの存在について解説した。
岸田総理が対話型AI作成の質問に答弁
3月29日の衆議院内閣委員会で岸田総理大臣に対し、立憲民主党の中谷一馬議員がAIを使った対話型の自動応答ソフト「ChatGPT」が作成した質問を行った。中谷議員は「AI生成の質問を国会で行い、首相が答弁した事例は確認されていない。憲政史上初ではないか」としている。
飯田)中身は新型インフル等特別措置法の改正についてでした。「衆議院議員であれば、総理にどのような質問をすべきか」と聞いて、質問作成を依頼したそうです。どうご覧になりますか?
政治家こそAIに仕事を取られるのではないか
ユルマズ)ChatGPTは話題になっていますし、AIをネタに相場も上がっています。うちの塾生の方からも「私たちの仕事は大丈夫ですか、そのうちすべてAIが担うのではないですか?」などと質問されることがあります。でも、このやりとりを見ると、政治家のやることをAIができるのであれば、逆に政治家の存在がいちばん危なくないですか?
飯田)そうなりますね。
ユルマズ)「政治家は必要ですか?」となりますよね。面白がって質問しているようですが、「わかってやっているのかな」と、自分たちの存在意義を否定するような使い方に少し不安になりました。「AIでもまともそうな質問ができるのであったら」という。
飯田)確かにそうですよね。システム上、「民意の束を背負って」というようなことを言いますけれど、ネットの方がむき出しの民意はたくさん転がっていると思います。
ユルマズ)おっしゃる通りです。
飯田)よし悪しはもちろん別として。
シンプルワークはAIに代わっていく
ユルマズ)もっと大きなビッグピクチャーで見ると、ChatGPTは騒がれすぎなので、いますぐどうにかなるとは思いませんが、レジ打ちなどのシンプルワークはAIに代わっていくのではないでしょうか。
飯田)簡単な作業の仕事は。
ユルマズ)例えばコンビニなどはキャッシュレスが多いですし、おそらくそのうち全部キャッシュレスになって、レジ打ちの人はいなくなるかも知れない。事務作業や経理などもすべて変わりつつあります。
将来的には人間の仕事が減少し、人口が多い中国やインドは十分な職を与えられなくなる ~ベーシックインカムを渡さなければならず、そのためのコストが掛かる
ユルマズ)実は、日本にとってはいいことだと思います。日本では少子高齢化が問題視され、衰退の理由にされていますが、むしろ将来、人はいらなくなるのかも知れません。いますぐではありませんが。
飯田)今後。
ユルマズ)いずれは逆に、人がありあまることが問題になるような世界に向かっている。それは明らかです。
飯田)人があまってしまうことが。
ユルマズ)私たちの世代はAIを監視する人が必要ですが、いつかはAIを監視する必要もなくなります。そのときには、おそらく日本の人口は多いくらいだと思います。逆に人口がありあまっている中国やインドは、人に十分な職を与えられなくなり、社会秩序が乱れてきて、ベーシックインカムを渡さなくてはいけなくなるかも知れません。
飯田)そちらにコストが掛かるような社会になる。
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