高齢者の死亡リスクを高める「歯周病」の怖さ

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医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が4月10日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。口のなかの健康を保つコツについて解説した。

高齢者の死亡リスクを高める「歯周病」の怖さ

※画像はイメージです

加齢とともに口の働きが衰える「オーラルフレイル」 ~要介護状態に進む原因の1つ

飯田浩司アナウンサー)今回は口のなかの健康を保つコツ、オーラルケアについて伺います。まずは、なぜオーラルケアが必要なのかという理由を教えてください。

森田)歯周病や虫歯のリスクは加齢とともに高まり、歯周病や虫歯が介護の必要性や死亡リスクを高める可能性があることもわかってきたのです。歯周病や虫歯から歯や体を守るには、40~50代からしっかりと歯、歯茎、口のなかを守らなければなりません。それはもはや常識になりつつあると思います。

飯田)40~50代から。

森田)「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことがありますか?

飯田)フレイルという単語は何度か教えていただきましたが。

新行市佳アナウンサー)虚弱の状態だということですよね?

森田)「身体のフレイル」と言うと、加齢に伴って体や心が老い、衰えていくという状況ですが、オーラルフレイルは加齢によって「食べる、話す」などの口の働きが弱くなることを示します。要介護状態に進む原因の1つとして考えられています。

飯田)口の衰えからそういう状態になるのですか。

オーラルフレイルの人は死亡リスクが通常の人の2.1倍

森田)2017年に、柏市の高齢者2011人を対象とした研究がありました。歯の数が20本以下で、噛む力や嚥下機能が衰えたという、いわゆるオーラルフレイルに該当する人たちを調べたところ、4年後の死亡リスクが正常な人の2.1倍だったという研究報告があります。

飯田・新行)死亡リスクが2.1倍。

森田)この調査によると、オーラルフレイルに該当する人たちは死亡リスクが高まるだけでなく、要介護状態の少し手前である「身体的フレイル」になってしまうリスクも2.4倍だったそうです。

飯田)そんなに変わるのですね。

森田)健康な歯を維持することで、食べ物を咀嚼して栄養を摂取できます。また、滑舌よく話すことで心の健康にもつながりますし、社会性にもよい影響を与えるのではないかと思います。

飯田)滑舌のよさを維持すると、体にもいいのですね。

森田)いいですね。喋るとやはりコミュニケーション能力も高まりますし、相手も自分も元気になりますよね。

高齢者の死亡リスクを高める「歯周病」の怖さ

新行市佳アナウンサー、森田豊氏、飯田浩司アナウンサー

歯を失う原因の40%は歯周病 ~40歳以上の8割が歯周病に罹っている

新行)歯を失う原因は、やはり虫歯ですか?

森田)歯を失う理由でいちばん多いのは歯周病です。歯と歯茎の間が細菌に感染して、歯の周りに炎症が広がる病気です。40歳以上の日本人の8割が歯周病に罹っているとされていて、歯を失う原因の約40%を占めています。

飯田)40%も。

森田)軽いものだと、歯と歯茎の境目が赤く腫れたり、出血するといった歯肉炎に留まるのですが、症状が進むと歯周病になってしまいます。歯と歯茎のすき間が広がり、歯を支える組織が壊れ、歯がぐらぐら動く状態になって、歯が抜けてしまうのです。

歯周病と密接な関係にある心筋梗塞、脳卒中の発症

森田)歯周病は心筋梗塞、脳卒中の発症と密接な関係があることがわかってきました。歯周病菌の出す毒素が歯茎から血管内に入り、その一部が白血球から逃れて血小板と絡み合い、血小板が集まってしまうので、血管内に血栓ができるのです。

飯田)そういうリスクを生んでしまうのですか。

森田)歯周病の方は心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすいということが、統計的にわかってきました。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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