東京都医師会副会長で「平成立石病院」理事長の猪口正孝氏が5月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナの新たな株「XBB.1.5」について、また、5類移行後の医療提供体制について語った。
いまのところ大きな拡大には至っていない「XBB.1.5」
飯田浩司アナウンサー)5月8日から新型コロナの感染症法上の分類が、2類相当から5類に引き下げられましたが、4月の感染状況はいかがでしたか?
猪口)4月の終わりごろに、新しい「XBB.1.5」という亜種が入ってきました。それがかなり拡大するのではないかと言われていましたが、我々がモニタリング会議を行ったところ、4月19日の段階では、1週間の増加比は105%ほどでした。1日あたりの新規陽性者の人数は1200人弱というところです。思ったよりも大きな感染拡大にはなっていない状況です。
飯田)世の中の流れをみると、4月は春先ですから、お花見やさまざまなイベントもあって、街に人が出ていた印象がありますが。
猪口)3月中の方が、送別会や卒業などで人出が多かったのかなと思います。人流を調べた結果では、4月に入ると比較的、人出は落ち着いていました。
飯田)そうですか。
猪口)もしかすると、人流を見ているところが飲食店の多い繁華街なので、比較すると落ちているように見えるのかも知れません。花を見るのは当然、屋外ですから。
飯田)換気の部分で考えると。
「XBB.1.5」の特徴
飯田)「XBB.1.5」の特徴は何でしょうか? 基本的にはいままでとあまり変わりませんか?
猪口)ほとんど変わらないです。「BA5」と比べると、感染力は約1.4倍だと言われていますが、比較的、それほど感染は拡がっていない印象です。しかし油断はできません。専門家のなかには、一時落ちるような傾向になったあと、日本人が獲得している免疫力が少し落ちてきたところで拡大する可能性があると言う方もいます。可能性の話ですが。
落ち着いてきている医療提供体制
飯田)厚生労働省の専門家有志の方々は、第9波の話をされていますが、そういったリスクも考えているのでしょうか?
猪口)常にそういう可能性を考えておかなくてはいけません。「XBB.1.5」の変異株で終わるわけではありません。ウイルスは世界中に存在していて、どこかでまた亜種が出て拡がっていく可能性はあります。
飯田)それに対して、医療提供体制はどうなっていますか?
猪口)医療提供体制は落ち着いています。ただ、5類への移行後は提供体制も変わりますので、今後どうなっていくのかは、まだわかりません。
飯田)今後どうなるかは。
猪口)いま現在は落ち着いています。コロナ感染による救急患者をどの病院に連れて行くのか、最後に選定する作業があるのですが、これまでは選定困難が続いていました。それもほんの少しずつですが、改善されている状況です。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます