「G7広島サミット」で日本が発信すべき「メッセージ」
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が5月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。5月19日から開催される「G7広島サミット」、また岸田総理のアフリカ歴訪について解説した。
5月19日から広島でG7サミット開催
飯田)5月19日からG7サミットが開催されます。
宮家)日本はG7議長国ですし、しかも総理の地元の広島で行われるので、張り切っておられると思います。しかし、G7は毎年行われていて、議長は持ち回りです。
G7広島サミットでやらなければならないこと
宮家)G7自体が常に出している様々な文書があって、その文書だってこれまでと全く違うことが書かれるわけではない。つまり継続性があるということです。広島でサミットが開催されるからといって、いままでと全然違うことを言うわけではない。やはり、いままで行われてきた議論の積み重ねで議論は動いていくわけです。当然のことながら、第1にはウクライナの問題です。
飯田)ウクライナ情勢から。
宮家)これについても、いままでの流れがありますから、厳しくロシアを批判しなければならない。それから、ヨーロッパ人に理解して欲しいのは、ウクライナと同じようなことが東アジア・インド太平洋地域で起きたら困るということです。プーチンさんのように、独裁者は間違った判断をする可能性があるのですからね。日本の近所にも2人いるではないですか。
飯田)そうですね。
宮家)そういう人たちに間違いを起こしてもらっては困るので、正しいメッセージを送らなければなりません。これも広島でやらなければならない。同時に、いわゆる途上国の国々との関係もある。特に彼らはロシアとアメリカ、もしくは中国とアメリカの間でどっちつかずの部分があります。
意味のあった岸田総理のアフリカ歴訪
宮家)彼らにとっては自国の利益を拡大することが大事ですから、そうなるのは当然です。ですが、そういうところで途上国に対する手当をきちんとしなければならない。そういうメッセージも出さなければいけません。その意味では今回、アフリカを回ったことは非常に意味があると思います。
飯田)岸田総理のアフリカ歴訪は。
宮家)訪れた国をよく見ると、見事にアフリカ大陸の東西南北の4ヵ国に行っているのです。アフリカは広いですから、それぞれの地域に経済がありますが、東西南北の各地域で経済的にある程度重要な国を慎重に選んでいます。
飯田)今回。
宮家)もちろん五十数ヵ国ありますので、全部行くことができれば、それがいいに決まっているのですが、日本には素晴らしい国会審議がありますから。中国のように国会がない国では、毎年のように首脳がアフリカに行けるのです。
バランスが取れている日本の外交活動
宮家)国会審議がないから全部の国に行ってしまうのですよ。しかし、日本はそういうことができないので、その分、今回は挽回されたのだと思います。その意味では、今回の一連の外交活動はバランスが取れていたと思います。ヨーロッパから始まってアフリカ、シンガポールで終わる。韓国との関係改善も含めて、よかったのではないかと思います。
飯田)その間、各閣僚や与党の実力者も行っていますが、林外務大臣は中南米に……。
宮家)これもなかなか行けない国があり、初めて訪問する国も多いのです。中国では考えられないことですが。ロシアも外務大臣が積極的に行っていますからね。
宮家)ロシアにも国会審議はないですから。
飯田)確かにそうですね。自由に日程が設定できる。
宮家)それは羨ましいと思いますが、やらないよりはもちろんやらなければならない。
外交は対面で会って顔を合わせなければならない
飯田)大型連休の海外出張について、新聞各紙が「湯水のごとく税金を使っている」などと書いていますが、行くタイミングがここしかない。
宮家)やはり会って顔を合わせないとダメですよ。テレビ会議というわけにはいきません。
飯田)こういうものは。
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