数量政策学者の高橋洋一が5月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米債務上限問題について解説した。
米債務上限問題、進展なく ~バイデン大統領と下院議長、12日に再協議
アメリカのバイデン大統領は5月9日(日本時間10日午前5時)から、連邦政府債務の上限引き上げをめぐり、下院多数派を握る野党・共和党のマッカーシー下院議長らとホワイトハウスで会談した。しかし、債務不履行(デフォルト)回避に向けた引き上げの合意には至らず、マッカーシー氏は大統領と12日に再び会談する。
飯田)債務上限問題について、1月ごろ既に債務の上限まで達してしまい、いまのところは支払いを続けられていますが、「6月1日にも枯渇するのではないか」と言われているようです。どう見たらいいですか?
根拠となる法律は1917年制定の「第2自由公債法」 ~これまでに引き上げられた上限は約80回
高橋)みんなこの会談で大騒ぎして「債務不履行だ」と言いますが、根拠となる法律のことは知らないでしょう?
飯田)知りません。
高橋)1917年に制定された、「第2自由公債法」という法律です。
飯田)第2自由公債法。
高橋)そこで上限を決めてしまったから、いつもここに引っかかってしまうのです。1917年にできたのですが、これまでに上限が何回引き上げられたのかということも多分、皆さんは知らないと思います。80回ぐらいです。打率8割。
飯田)80%。
上下院のねじれがあると必ず債務上限問題になるが、これまで本気でデフォルトさせた人はいない ~今回も「政治的駆け引きのショー」で終わる
高橋)上下院のねじれがあると必ず、今回のようなことになります。でもお互いにわかっているから、本気になってデフォルトさせるような人はいままでいませんでした。
飯田)そこまで追い込むことはなかった。
高橋)わかっていますからね。デフォルトさせたら追い込んだ方が批判されてしまいます。「100年以上昔から同じ話があるでしょう。なぜそんなことをするのか」という話になる。楽観的だと言われるかも知れないけれど、今回も「政治的駆け引きのショーで終わる」と読みますね。100年間やっている話ですから。
飯田)「ギリギリまでやるぞ」と言って。
高橋)本当に「やるぞ」と言わなかったら、妥協も引き出せないでしょう?
飯田)どこまで突っ込めるかと。
高橋)6月1日だから、何日か前までは言うかも知れません。
飯田)5月29日~31日くらいまでは。
高橋)いろいろな手続きがあるから、それを見ながら動くのではないでしょうか。
政府機関の一部閉鎖は過去にもあるが、デフォルトになったことは1度もない
高橋)いままで100年間もこの法律があって、約80回も上限を上げてきた。でも、いままで「上げそこなってデフォルトになったことはない」という事実があります。
飯田)オバマ政権のときに、政府機関の一部閉鎖はあったけれども。
高橋)政府機関の閉鎖は何回もあります。たいしたことはないから、「そうか」という感じです。
飯田)完全なデフォルトではない。
高橋)そのぐらいまで追い込むことはあるけれど、デフォルトになったことはありません。
これまで100年以上の歴史のなかでデフォルトになったことはない
飯田)完全に駆け引きの世界なのですね。6月1日ギリギリになって「2週間だけ延ばそうか」というような、つなぎ法案的なものはありますか?
高橋)まとまらなければ、あるかも知れません。でもデフォルトはないです。
飯田)そこまでギリギリになってきたら、つなぎ法案ぐらいは通そうかというようなパターンもある。
高橋)いろいろな裏技で、あまり関係ない部分を閉鎖することはあるかも知れませんが、100年以上の歴史のなかでデフォルトになったことはありません。
デフォルトになれば共和党が政権を獲ったときにやり返されてしまう
高橋)(マスコミは)「デフォルトか」と言うのです。確かにそうやって突きつけるのは間違いありません。
飯田)野党・共和党側としては。
高橋)でも、自分たちが政権を獲ったときにやられてしまうではないですか。みんなわかっているのですよ。
飯田)やりすぎると自分たちがしっぺ返しを受けるかも知れない。
高橋)共和党の方が怒られてしまいます。いままで100年間も同じことをやっていて、「なぜ今回だけやるのだ」という話になるでしょう。
飯田)オバマ政権時代に政府閉鎖があったときも、「共和党はティーパーティーのやりすぎではないか」という批判がありましたものね。
高橋)逆に言われてしまうのですよ。楽観的すぎるかも知れませんが、私は「過去の歴史もそうだった」と言っているだけです。今回も同じかどうかはわからないし、違っているかも知れませんけれどね。でも、デフォルトになる確率は非常に低いです。
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