2030年にはインドが台頭し、世界はG3(米中印)の時代になる

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学習院大学特別客員教授で元駐インドネシア大使の石井正文が5月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛費増額の財源確保法案について、また今度の世界情勢について解説した。

2030年にはインドが台頭し、世界はG3(米中印)の時代になる

2023年3月20日、ブッダ生誕記念公園を散策する両首脳~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202303/20india.html)

防衛費増額の財源確保法案、採決見送り来週へ

立憲民主党と共産党の両党は防衛費増額の財源確保法案をめぐり、衆議院財務金融委員会の塚田委員長(自民党)に対する解任決議案を提出した。今週中の衆議院通過を阻止する狙いがあるとみられる。これに対し与党側は、4月12日の衆議院本会議で解任決議案を否決し、16日にも財務金融委員会で法案を採決する方針。

飯田)解任決議案が出されると法案審議がいったんストップされ、それを本会議にかける形になりますので、時間を稼ぐことにはなります。ただ、世論調査などを見ると、防衛費増額そのものに関しては国民にも危機感があり、上げた方がいいのではないかという意見が半数以上です。

石井)私は一国民として言えば、基本的な話ですので、安定財源があることは重要だという気がします。

飯田)安定財源があることは。

石井)一方、もう少し離れて見れば、いま日本はアメリカとの同盟で、中国と対峙しているわけですが、アメリカの国防費はまだ多い。中国の2.5倍ほどありますし、世界の国防費全体の4割がアメリカの国防費です。

これまでのようにアメリカは日本を守れない ~日本が強くなり、日米の連携をさらに強くする必要がある

石井)アメリカは強いのですが、相当、中国から追い上げられてきており、力の差が狭まっています。いままでと同じように日米で一緒になり、日本を守っていこうとするなら、日本が強くならなければいけないので、防衛費を増やすのは避けて通れない道だと思います。2つ目は、日米の連携をもっと強くする必要があります。

飯田)もっと強く。

石井)朝鮮半島であっても台湾であっても、いざ(有事が)起こったらどうするかという調整を、より詳しくする必要があると思います。

同志国とのネットワークを広げ、協力のベースを広げる ~G7は重要な機会

石井)最後にもう1つ重要なのは、同じような方向を向いた国、最近は「同志国」と言いますが。

飯田)「同志国」ですか。

石井)同じ志を持った国です。そういう人たちにネットワークを広げて、協力のベース自体を広げるということです。そういう意味では、G7(広島サミット)などは重要な機会になります。

飯田)そう考えると、G7があり、そのあとクアッドの首脳会談も予定されています。アメリカ、日本、インド、オーストラリアという国のつながりですが、5月は重要なものが目白押しなのですね。

石井)5月は重要な月だと思いますし、それに向けて岸田総理はアフリカにも行かれました。いろいろなところへ行って、意見を聞きながらG7を開催するため、相当な準備をされていると思います。私の立場から言うと、今度のG7にはインドネシアも来ます。インドネシアも重要な国です。

2030年にはG3(米中印) ~2040年には、そこにインドネシアが入ってくる

飯田)中国がだんだんとアメリカとの差を詰めてきているのは、前々からの流れとしてあります。その見通しはいかがでしょうか? 10年後~20年後までは見えてきますか?

石井)それぐらいを見ながら考えないといけませんね。ざっくり言いますと、10年後の2030年代にはアメリカと中国の国内総生産(GDP)と国防費が同じくらいのレベルになり、G2になるのかと思ったら、そこにインドが入ってきます。インドの人口は世界ナンバー1ですし、2030年には日本を抜いてGDPが3位になる見通しです。

飯田)インドは世界第3位の国になるのですね。

インドとインドネシアがどういう立ち位置を取るかで世界の多数派が決まる ~日本は平和なときにインドやインドネシアに働きかけることが重要

石井)G3になるのは2030年と言われています。それから10年経って2040年になると、今度はインドネシアが日本のGDPを抜きます。そうなるとインドネシアも含めて、インドとインドネシアがどういう立ち位置を取るかで、世界の多数派が決まるような状況になると思います。

飯田)アメリカと中国は、ポジションとしてはガチっと決まっていて、インドやインドネシアは両方を見ながら動くという感じでしょうか?

石井)そうですね。かつ大国ですので、自分で立ち位置を決められるわけです。そういう国に対し、平和な時期から働きかけるのが重要だと思います。

今後さらに関係が深くなる日本とインドネシア

飯田)日本としては、インドネシアとの間には政府開発援助(ODA)など、いろいろなつながりがありましたね。大使として赴任された際も、この辺りのつながりの深さは感じましたか?

石井)それはとてもあります。戦後の日本はインドネシアを助けてきたわけですから。いまはそれだけではなく、安全保障面でも関係があります。向こうの沿岸警備隊が日本を助けたり、海軍との共同訓練も行っています。あの辺りは重要なシーレーンですから、そういう面での協力が増えてきています。

飯田)南シナ海のいちばん南のところにはインドネシアがあり、インドネシアの沿岸警備隊と海上保安庁は、能力構築支援などを行っています。

石井)共同訓練も行っています。今後さらにその関係は深まっていくと思います。

飯田)そういったつながりから、経済面でのつながり等々に発展するのでしょうか?

石井)そうですね。

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