アフターコロナで回復傾向の国内景気 岸田政権はこの「チャンス到来」を理解しているのか?

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ジャーナリストの須田慎一郎が5月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の日本経済について解説した。

アフターコロナで回復傾向の国内景気 岸田政権はこの「チャンス到来」を理解しているのか?

【経済】スーパー店頭に並ぶ飲料、調味料や缶詰など=2023年5月1日午前、東京都練馬区関町北の「アキダイ 関町本店」 写真提供:産経新聞社

3月決算を迎え、回復傾向にある各企業

飯田)最近、企業の決算が続いています。5月12日には、企業の3月期決算の発表がピークを迎えました。コロナ禍からの脱却というところで、3月の数字はどのように見えますか?

須田)日本経済だけでなく、世界経済がアフターコロナにシフトしたことを受け、いままで落ち込んでいたものが元の水準、あるいはそれ以上の水準に伸びてきて、企業決算がよくなっているのだと思います。

円安も加わり、輸出業には追い風 ~黒字分を設備投資や研究開発費に回すことがなく、企業の業績回復が一過性のもので終わりかねない

飯田)海外はアフターコロナで経済が伸び、それと同時に物価も上がったことが問題になっていましたが、企業側、特に輸出業にとっては追い風が吹いた形ですよね?

須田)円安もありますからね。問題なのは、企業のマインドとして見ていくときに、実は企業の貯蓄率はここ20年くらいずっと黒字なのです。それでいいではないかと思う方もいるかも知れませんが、企業というのはお金を借りて将来への投資、設備投資や研究開発費に回すので、本来であれば「行って来い」で赤字になるのが普通の状況なのです。

飯田)通常は。

須田)つまり、種蒔きをしなければならない。ところがお金を溜め込んで、将来の成長に投資されていないことが鮮明になってきました。すべての企業ではないのですが、トータルで見ると、ここ20年間、黒字がずっと積み上がってきている。景気が回復したのはいいのですが、「将来的に右肩上がりで業績回復が展望できるのか」と言うと、企業の業績回復は一過性のもので終わりかねないという心配があります。

個人消費が安定して拡大するためには賃上げできるかどうかによる

飯田)よく「経済の三主体」と言いますが、企業があって政府があり、そして家計がある。家計は基本的に貯蓄するものですが、その分、企業や政府は赤字でも積極的に投資する行動を取らないと、経済全体が回らなくなってしまいます。

須田)そうなのです。それがデフレの1つの要因になっています。個人消費については、コロナ禍の期間中に使わなかったお金があるので、それが出てきている当初はいいのだろうと思います。しかし将来、安定的に個人消費が拡大傾向になっていくかどうかは、賃金の問題が関係します。

飯田)個人消費が拡大傾向になるには。

須田)今年(2023年)の春闘はよかったのですが、大企業や中堅企業に集中していますし、それが中小企業・小規模事業者に及んでいくのかどうか。そして今年だけではなく、将来的にも賃上げというトレンドを得ることができるのか、というところに掛かっていると思います。

将来的に賃上げというトレンドを得ることができるか ~増税路線を走れば個人消費は一気に落ち込み、現在の景気も一過性のもので終わってしまう

飯田)そのためには、どう政策的に後押しできるのかというところですが、むしろ「引き締めようとしているのか?」という方向性もあります。

須田)6月になると経済財政運営の基本指針・骨太の方針、つまり予算編成作業がスタートします。そこで今後3年間くらいのトレンドが出てきます。ただし、心配なのは、岸田政権は増税路線を走るのではないかということです。そうなると、一気に個人消費が落ち込むのではないでしょうか。

飯田)現在はいい数字も、完全に一過性のもので終わってしまうかも知れない。

ここで何を政策として打ち出すかが重要 ~好循環に持っていけるチャンス

須田)いまはちょうどいいターニングポイントなのです。ここで政策として、何を打ち出すのかが重要だと思います。

飯田)ある意味、ここから好循環に持っていくチャンスかも知れないですよね?

須田)チャンス到来なのですが、その辺りを岸田首相が理解しているのかどうかが心配です。

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