原発の運転期間が定められているのは日本だけ GX脱炭素電源法成立
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第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣が6月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。参院本会議で成立した「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」について解説した。
GX脱炭素電源法
原子力発電所の運転期間の延長を含む「GX脱炭素電源法」が5月31日、参議院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党の賛成多数で可決、成立した。2011年の東京電力福島第一原発事故後に定めた運転期間の上限を見直す政策転換となる。
事実上60年以上の運転が可能
飯田)事実上、60年以上の運転が可能になります。止まっている期間を延長できるというのは、電気事業法の範疇で、そのようなことも可能になるそうです。GX、CO2の削減を考えると、2011年の東日本大震災の前は、「原発は使っていこう」という方針でしたよね。
永濱)そうですね。東日本大震災が起きたことによって、このような運転期間が定められたわけですが、海外を見ると、原発の運転期間を定めているのは日本だけです。
飯田)なるほど。
永濱)ですから、相当厳しい基準だったと思います。もちろん、運転期間を延ばすのであれば、いま以上にしっかりとした安全性の確保が求められると思います。
年内再稼働は関電の高浜発電所くらい
飯田)いまは、動かしているところとそうではないところで、電力会社でも相当、金額に差がありますよね。
永濱)物理的に動かせる原発の電力の出力量ベースで見ると、稼働しているのは日本全体の4分の1くらいしかありません。
飯田)全体の約4分の1。
永濱)年内に再稼働できるところは、既に再稼働が予定されている関電の高浜発電所くらいです。本来であれば、東電管内の柏崎刈羽原発も動く予定だったのですが、不備があったらしく、再稼働しないようなので、今年(2023年)の夏も電力不足になりそうな傾向です。安全性を確保した上で、できるだけ前倒しで進めてもらいたいですね。
今年の夏は「スーパーエルニーニョ」が発生する確率が高い ~暑くなり、電力不足が心配される
飯田)電力予備率のホームページなどを毎日見ていましたが、日本でこんなことになってしまうのだなと思いましたね。
永濱)私が懸念しているのは、気象庁が5月に発表したのですが、「エルニーニョ」が夏から発生する可能性が相当高まっているそうです。通常、「エルニーニョ」が発生すると冷夏になるので、電気は少なく済むのですが、気象庁によると今回は「スーパーエルニーニョ」と言って……。
飯田)スーパーエルニーニョ。
永濱)逆に暑くなる可能性があるらしいのです。そうなると、より電力不足が強くなりますので、気象の部分も心配だなと思います。
飯田)冬の雪もそうでしたが、気象によって電力のひっ迫が誘発されてしまいますものね。
永濱)そうですね。
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