ウクライナのダム決壊 切羽詰まったロシアの攻撃によるものか
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元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が6月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。カホウカダムが決壊したウクライナ情勢について解説した。
ウクライナ情勢とそれをめぐる各国の動き
飯田)ウクライナ情勢に関して、ゼレンスキー大統領がダム決壊によって被災した南部ヘルソン州を訪問したと報道されています。カホウカダムの決壊については「どちらがやったのか」など、いろいろなことが言われていますが、どうご覧になりますか?
兼原)ダムと原発に対する攻撃は、いまの国際法では禁じられています。
切羽詰まったロシアの攻撃によるものか
兼原)攻撃するとB級、C級戦犯になります。それを覚悟してまでダムを攻撃するのは、相当なことなのです。もし仮にロシアが行ったとすれば、切羽詰まっているということです。
飯田)ロシアの攻撃だとすると。
兼原)ドニエプル川は水量が多いので、あそこを決壊させると攻められなくなります。ロシアが守っているのは東側ですから、西からも入って来られなくなるのです。ウクライナもスタミナが永遠に続くわけではないので、今年(2023年)か来年が勝負です。
飯田)決着をつけるには。
兼原)ウクライナが負ける形でアメリカ大統領選挙に向かうことはできないので、バイデンさんは今年頑張るのではないでしょうか。F16も入ってきますし。
飯田)戦闘機も。
兼原)どこかで天王山になるのですが、水浸しにしておけばウクライナ軍は入れませんから、思い切って「ドーン」とやってしまったのかも知れない。しかし、これは戦争犯罪です。やってはいけないことをやっているのです。
支配地域を水浸しにしてでも敵の侵入を防ぐ作戦か
飯田)ロシア側の支配地域の方がより水浸しになっていて、被害が大きいという報道もあります。
兼原)焦土作戦のように、自分の国土を破壊してでも敵を寄せ付けないような作戦を、戦争時には行います。切羽詰まっていて、そこまでやらなければ勝てないと思っているのでしょう。
飯田)それでも、続けていれば勝てると考えているのですか?
兼原)いたるところに塹壕を掘り、敵が絶対に入って来られないよう、道にセメントのブロックを置き、地雷で固めるのです。始まると1センチも動かないまま2~3ヵ月続くのが陸上戦です。押し切られたらおしまいなのです。水浸しにしておけば入れませんから、そこまで考えたのだと思います。
ドニエプル川を渡ってウクライナ軍が目指す地域
飯田)ウクライナの大規模反攻が始まったというようなことも言われています。
兼原)しかし、通れませんからね。
飯田)かなり進出路が限定されますか?
兼原)そうですね。守りやすくなるわけです。
飯田)そこに集中させればいい。本来、ウクライナ軍はドニエプル川を渡って、南のクリミア半島の方に行こうとしていたと考えられるのですか?
兼原)それはヘルソンを獲ったあとですね。ドニエプル川の西側にあるヘルソン地域は獲っているので、東側は川を渡らなければならない。それが苦しいのですけれど、そこが獲れれば、横のザポリージャに行くか東側に行くか、南に下がってクリミアに行くかというチョイスがある。クリミアは海に囲まれていて、ロシア海軍がいるので。
飯田)おいそれと海側からは近付けない。
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