キャスターの辛坊治郎が6月13日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。マイナンバーカードを巡るミスやトラブルが相次いでいる問題に向き合う岸田文雄首相の姿勢について、「ミスやトラブルは初期不良ではないバグ(異常)。岸田首相の国会答弁からは、その認識が感じられない」と苦言を呈した。
岸田文雄首相は12日、マイナンバーカードを巡るミスやトラブルが相次いでいる問題で、2024年秋に現行の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一体化する政府方針に変更はないと強調した。マイナカード取得者向けのサイト「マイナポータル」で他人の年金記録が閲覧できた事例では、河野太郎デジタル相に総点検を指示した。
辛坊)最も大きな問題は、マイナンバーカードの名義とは別名義の公的給付金受取口座がひも付けされていることです。メディアは、マイナカードと公的給付金受取口座をひも付ける際に本人名義ではなく、家族や同居人、別居家族の口座を登録していたケースが約13万件あったと報じました。また、全く別人の口座が誤って登録された可能性が高い事案が748件あったとも報じています。しかし、こうした報道は政府の目くらましのような発表をそのまま伝えているから、違和感があるんです。
なぜなら、家族や別居家族らも別人名義には変わりないからです。それなのに、全く別人の口座として748件という数字を見せつけるのは、明らかにおかしいですよ。別人名義の口座ひも付けは約13万件あったと理解すべきです。いずれにせよ、約13万件なんていう大きな数字は、初期不良とはいえないバグ(異常)ですよ。
このような数字になった大きな要因は、新型コロナウイルス禍の「特別定額給付金」10万円です。つまり、幼少の子供や高齢の親のマイナカードを発行する際に、代理で手続きをした家族らが自分名義の口座をひも付けたケースが多かったからではないかと思います。私がそう考える理由は、自分名義の口座をひも付ければ、子供や親にそれぞれ給付されるはずの10万円を自分が受け取れるからです。こうした意図的な口座のひも付けがなければ、約13万件なんて数字になるはずがありません。
コロナ禍の特別定額給付金10万円の支給にあたり、マイナンバー制度は全く普及していませんでした。政府はそれを逆手にとり、「マイナンバーと受取口座のひも付けがもっと進んでいれば、時間をかけずに一瞬で給付金を国民全員に配れた」といった見解を広めました。また、マイナカード保有者に条件付きでポイントをバラまきました。こうやって、政府は国民をマイナカードに引き込んだわけです。
今回の事態に陥った原因は、マイナカードにひも付ける口座は本人名義のものでなければならないことを、政府が徹底的に周知してこなかったためです。しかし、政府は、口座のひも付けが本人名義ではないマイナカードの場合、「訂正してください」としか言っていません。しかし、約13万件が全て訂正されるとは思えません。そうなると、別人名義の口座に公的給付金がどんどん振り込まれてしまいますから、マイナカードなんて使いものになりません。
今回の問題を受け、地方自治体の中には、マイナカードのひも付け口座に基づく公的給付金の振込をやめたところもあります。このように、根本的な初期不良ではないバグがマイナカードにあるということが日々、明らかになっています。ところが、岸田文雄首相の国会答弁を聞いていると、こうした現状の認識が全く感じられません。大丈夫ですか、この国は。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)