共同通信ニューヨーク支局の稲葉俊之氏が6月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。消息不明の潜水艇「タイタン」について解説した。
潜水艇の一部が見つかる
アメリカの沿岸警備隊は、北大西洋に沈没した豪華客船「タイタニック号」の残骸から約500メートル離れた地点で、6月18日から消息不明となっていた潜水艇「タイタン」の一部を発見したと発表した。「タイタン」にはイギリスの富豪やフランスの探検家ら5人が乗っていたが、ツアーの運営会社は「5人全員が亡くなったとみられる」とする声明を発表した。
飯田)このような結末になってしまいましたが、現地ではどんな報道になっていますか?
稲葉)沈没した豪華客船「タイタニック号」を深海へ見に行くツアーで、費用も日本円で約3500万円と高額であり、注目されています。乗員の方々の消息が不明のため、24時間、ニュースサイトで大きく報じられています。
潜水艇を水圧から守る耐圧殻の破片を発見 ~水圧によって潰されたとみられる
飯田)生存は絶望的であると発表されたようですが、破片が見つかったのはどんな状況だったのでしょうか?
稲葉)タイタニック号の残骸付近で5つの大きな破片が見つかっています。なかには潜水艇を水圧から守る耐圧殻の破片もあり、水圧で潰されたとみられ、沿岸警備隊は「生存は絶望的である」と判断しています。
飯田)深海では当然ながら水圧がかなり強く掛かります。それを守る耐圧殻とされるものの破片が見つかったということは、一瞬で潰れた可能性があるのですか?
稲葉)おそらく、その通りだと思います。沿岸警備隊の会見では、潜水してから1時間45分前後に連絡が途絶えた場所と、破片が見つかった場所はほぼ同じ位置だったとのことです。潜水中に何らかの不具合があり、水圧によって潰されたとみられています。
海洋技術協会が2018年に危険性を指摘
稲葉)ツアー会社「オーシャンゲート社」は、海底深海ツアーを宇宙旅行のように打ち出しており、注目されていました。安全認証を受けておらず、会社自体もそれを認めていますが、「それは自分たちの技術が進んでいるからだ」としていました。
飯田)安全認証を受けていなかった。
稲葉)海洋科学者や技術者でつくる団体(海洋技術協会)が2018年にその危険性を指摘していました。万が一事故が起きれば、「海底開発の普及に支障が出る」と警告していたのですが、指摘通りになってしまったということです。
今後の深海ビジネスにも影響
飯田)賠償の問題や、この先の深海ビジネスにも影を落とすことになりそうですね。
稲葉)そうですね。乗員の方々については、事故などが起きた場合、会社が責任を持たないことなどに関して署名しているはずです。
飯田)免責について。
稲葉)「認証を受けずにこのようなビジネスを行っていいのか」という声が上がっているので、今後は厳しくなるのではないでしょうか。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。