ジャーナリストの鈴木哲夫が6月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍派の会長人事について解説した。
安倍派会長
自民党の最大派閥にして安倍晋三元総理の後任となる安倍派の会長人事について、安倍派幹部の世耕参院幹事長は6月27日、「そう遠くなく、何らかの結論は導き出していきたい」と述べた。また、同じく自民党安倍派に所属する西村経済産業大臣は28日、「今後の派閥運営のあり方をめぐって、自身を含む5人の有力議員を中心に進めていく雰囲気が出てきている」と指摘した。
安倍派「5人中心に」
飯田)「5人の有力議員」というのは、森さんが……。
鈴木)森喜朗さんが名前を挙げたとされる方々で、今週まさにその5人が会合を行っているわけです。萩生田さん、世耕さん、西村さん、高木さん、松野さん。
飯田)なるほど。
鈴木)この5人ということは、逆の言い方をすると、いままで名前がときどき上がっていた下村さんと塩谷さんは入っていないわけです。つまり「下村氏・塩谷氏外し」というような見方もできるわけですよね。
飯田)1つ世代が改まるようなところがあります。
鈴木)しかし、塩谷さんも「若手の意見を聞くのだ」という動きをして、意を汲む気持ちは持っている。下村さんは下村さんで、若い人たちを集めて話をしています。でも流れとしては、この5人が2人を外していくような流れを感じます。
「世耕氏が会長、西村氏が総裁候補」という分離論の可能性も ~5人の集団指導体制でいくのか分離論でいくのか
鈴木)動きとして思うのは、まず世耕さんが参議院のメンバーを集めて結束を図ろうとしています。「世耕さんは会長を狙っているのかな」と思うわけです。
飯田)世耕さんは会長を。
鈴木)西村さんですが、ここ数日で「ポスト岸田」に意欲を示している。つまり総裁候補です。総裁選に出るということです。
飯田)西村さんは総裁候補を。
鈴木)本来ならば、「派閥の会長イコール総裁候補」というのが正しい姿だけれども。ある種、分理論のようなものがある。
飯田)なるほど。
鈴木)会長は例えば世耕さんで、総裁候補は西村さんなど。要するに5人の話し合いがうまくいかなければ、そういう分理論のようなものも出てくるのかも知れません。
飯田)分離論。
鈴木)ただ、萩生田さんが黙ってはいないと思うので、萩生田さんがそこにどう絡むのか。次のステップの問題が出てきますが、5人の集団指導体制で進むのか、もしくは分離論になるのか。そんなせめぎ合いが今後はあるのだろうと思います。
参議院議員の世耕氏が会長になるには「総裁は衆議院、派閥は参議院」という棲み分けも
飯田)この5人のなかでは世耕さんだけが参議院議員で、他4人は衆議院議員です。参議院議員であっても、もちろん総裁候補にはなれるけれど、慣例的には衆議院から出すような形があります。
鈴木)そうなのですよ。だから総裁そのものは難しいかも知れません。世耕さんが鞍替えすることになれば別ですが、まだ手前の段階ですよね。
飯田)衆議院に鞍替えするには。
鈴木)数は参議院の方が多いかも知れません。ざっと40人ぐらい。しかし、「参議院が派閥の会長かよ」という意見は衆議院から出てくるだろうし、そう簡単ではないと思います。
飯田)参議院だということで。
鈴木)棲み分けができるとすれば、総裁は衆議院から出し、派閥は参議院とする。先日亡くなった青木幹雄さんも、実質的には派閥のボスでしたよね。
飯田)茂木派(平成研究会)の。
「萩生田・世耕・西村」の三者三様の形になる可能性も ~ポイントは党内の実力者との関係を保っている萩生田氏
鈴木)そういう意味では、萩生田さんがポイントです。萩生田さんの強みは、他の派閥や党内の実力者との関係がしっかりと保てていることです。このメンバーのなかでは、まず、菅さんが萩生田さんの名前を挙げていました。
飯田)菅さんが。
鈴木)菅さんはどちらかと言うと非主流派ですが、将来の総裁候補を含めて萩生田さんの名前を挙げていました。萩生田さんも閣僚のとき、安倍さんにべったりではなく、そうではない人たちとも関係をつくっていました。
飯田)いろいろと関係を持っている。
鈴木)党内での人間関係やパイプを考えると、いちばん強いのは萩生田さんになります。ある種、萩生田・世耕・西村で三者三様の形になるのではないでしょうか。高木さんと松野さんには少し失礼かも知れないけれど、この3人を中心にどういう組み合わせになるのかということだと思います。
飯田)三者三様の形に。
鈴木)これはあくまでも、私の取材によるいまの見方ですけれどね。そんな気がします。
飯田)森喜朗さんは常々、「7月8日に亡くなられた安倍元総理の一周忌までには」と言っていましたが、あと1週間ですものね。
鈴木)厳しいかも知れませんね。
内閣改造と党役員人事 ~窓口にはベテランの高木氏か
鈴木)もう1つ話が出ているのは、おそらく夏過ぎに岸田さんの人事が……。
飯田)内閣改造と党役員人事。
鈴木)その窓口が必要ですよね。安倍派の誰が窓口になり、人事のやり取りを岸田さんサイドと行うのか。これも決まっていないわけです。
飯田)そうですね。
鈴木)「まずそれを決めよう」という話が5人のなかで出たという情報もあります。それは誰かと言うと、先ほどの3人はそれぞれバチバチにやっているわけだから、そうではなく、いちばんベテランの高木さんを窓口にしようかという声も出ているらしいです。どちらにしても、窓口をつくる作業も近々に進めなければいけない。
飯田)並行して進める必要がある。それによってポストが変わってくると、動きやすくなる人と動きにくくなる人が出てきます。
鈴木)だから改造でどうなるか。そのあとで新たに5人がせめぎ合う構図になるかも知れません。
飯田)「そのポストをどこに割り当てるか」で、官邸も手を突っ込めると言えば突っ込める。
鈴木)利用できるかどうか。他にやることはたくさんあるのだけれどね。
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