マイナンバーカードを返却しても意味がない 本質は一元管理するシステムにある

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地政学・戦略学者の奥山真司が7月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。総点検完了時期が公表されたマイナンバーについて解説した。

マイナンバーカードを返却しても意味がない 本質は一元管理するシステムにある

※画像はイメージです

マイナンバーの総点検完了時期、8月上旬に公表

河野デジタル担当大臣は7月10日に都内で講演し、マイナンバー総点検が完了する時期の見通しを8月上旬に示すと明らかにした。

飯田)岸田総理は6月の会見のなかで、総点検については「秋までをめどに行う」と表明していました。

奥山)国民の情報を一元化して行政を効率よく運用するためには、マイナンバーのシステムは必要不可欠です。諸外国の例を見ると、韓国でも一時期、情報漏洩や名前の取り違えに関するトラブルが起きていますが、その後はスムーズに進み、いまは日本よりも進んでいる状態です。

大事なのはカードではなく、うしろにある情報を管理するシステム ~カードは単なる手段

奥山)韓国ではいまは保険証がいらないのです。自分の名前を言って、電話番号の下4桁で照会できますので、保険証を提示する必要がありません。なぜかと言うと、うしろにしっかりとマイナンバー化されたシステムが出来上がっているからです。

飯田)システムが出来上がっているから。

奥山)我々はマイナンバーカードに異様にこだわっており、保険証に関しても「なくなってしまっては大変だ」などと言いますが、そこに魂はなく、大事なのは、うしろにある情報管理するシステムです。カードは単なる手段でしかありません。

飯田)あのなかにデータがたくさん詰まっていて、なくすと大変なことになる、というものではないのですよね。

奥山)カードは単に番号を表示しているだけのものです。カードを返却するような不思議な運動をされている方がいますが、返却したところで、いずれ再発行料金が掛かってしまうため、返却しても意味がないのではないかと思います。

現在のマイナンバーのトラブルは一過性のものでしかない

奥山)現状のようなシステムを更新している状況のなかでは、必ずいろいろな問題が起こるのです。それを直していくことによって、徐々に精度が上がっていくのです。いまのマイナンバーのトラブルは一過性のものでしかないと、私は楽観的に捉えています。こういうことを乗り越えていかないと、国としての進歩がないのではないでしょうか。

飯田)目の前にいる人間が本人なのかどうかを認証する手段としてマイナンバーカードがあり、番号が掲載されていて、顔写真があり、本人だとわかる。その上、3点認証などがありますが、誕生日などの個人的なデータをいくつか言うことによって、「このカードとこの人は一致しているな」とわかるのですね。

必要な人がカードを持てばいい ~近代国家として情報を一元化するシステムを進めるべき

飯田)一致していれば番号を使ってデータを呼び出せる。そのデータが健康保険証や運転免許証のデータであり、運転免許証の更新に行くのであれば、免許証のデータを確認できるということですね。それぞれがそれぞれのサーバーに分散されていると。

奥山)私は、カードが全員に行き渡る必要はないと思っています。必要な人はカードを持てばいいのです。本質は一元管理するシステムの方にあります。日本は近代化していますので、近代化させるには効率性が大事になります。

飯田)効率性が。

奥山)政府には強力に進めていただき、一元化するシステムへ進んでいかないと、近代国家としていかがなものかと思います。

社会全体が変化を恐れる日本 ~意識を変えなければならない

奥山)いまの日本は、社会全体が変化を恐れる方向へ進んでいるのではないでしょうか。私は今回、そちらの方が気になります。

飯田)拙速に何でも進めるというのは、それはそれで問題かも知れませんが、恐れてばかりでは技術革新は進みません。

奥山)進めていかなくてはいけないですし、進めていただきたいですね。

飯田)テクノロジーの進歩は止められないですし、人間の欲望としても止まらないのでしょうね。

奥山)最新のものに慣れるためにも、我々の意識が変わらなければなりません。国民からも「早く進めて欲しい」という後押しが必要だと思います。

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