元航空自衛官で評論家の潮匡人氏が7月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本海に向けて発射された北朝鮮の短距離弾道ミサイルについて解説した。
北朝鮮が日本海に向けミサイル2発を発射 ~変則軌道の短距離弾道ミサイル
北朝鮮は7月19日未明、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。ミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)外に着弾したもよう。韓国軍、また浜田防衛大臣もその旨を発表している。
米原潜の釜山入港、日米韓の合同演習などに対しての発射か
飯田)現時点の情報では、どのようなミサイルだと考えられますか?
潮)報道されている範囲の高度、飛距離では、間違いなく短距離であることに加えて、変則軌道だという情報が伝えられています。アメリカ軍がKN23と呼んでいる北朝鮮版のイスカンデルタイプ。あるいはKN24、北朝鮮版のATACMSではないでしょうか。いずれも似たものですが、変則軌道の短距離弾道ミサイルではないかと思います。
飯田)意図についてはどうご覧になりますか?
潮)最近、米韓で北朝鮮の弾道ミサイル発射を念頭に置いた核協議が進んでいます。それを受けて昨日(18日)、韓国政府の高官が、仮に北朝鮮がそうした行為に出れば、アメリカが間違いなく核の報復を行うという趣旨の発言をしました。またアメリカ政府高官は、アメリカ軍の戦略原潜が既に韓国に展開していることを明かしています。
飯田)原潜が釜山に入港しました。
潮)その直前には、日米韓による北朝鮮の弾道ミサイル発射を想定した合同訓練を行っていますので、それらを念頭に置き、まさに今朝撃ったのだと思います。
米韓核協議 ~アメリカの核抑止が効いていることを北朝鮮・韓国に見せる意図も
ジャーナリスト・佐々木俊尚)韓国内では最近、米軍との核共有どころか、自国で核開発しようなどという議論が起こり、世論がそれを支持しているという報道もあります。そうなると、ますます北朝鮮との間でエスカレーションしそうですよね。
潮)北朝鮮を意図している側面もあると思いますが、韓国はもともと核武装を目指していた過去もあります。直近の米韓による核協議は、それとは別に「アメリカの核抑止がきちんと効いているのだ」ということを、北朝鮮と同時に韓国に対してもアメリカが見せている側面もあると思います。
米戦略原潜の釜山港入港の本当の意図
飯田)戦略原潜の釜山港入港について、ツイッターで「北朝鮮もそうだけれど、中国へ向けた意図もあるのではないか」という指摘もありました。その辺りはいかがですか?
潮)少なくとも間接的にそういった効果はあるのだと思いますが、そもそも軍事的には、戦略原潜がどこにいるかを明かす必要性はないのです。
飯田)明かすことはない。
潮)浮上させ、寄港させていれば、軍事的な意味は半減以下になるという側面もあるので、軍事的というより政治的なメッセージとして「いまここにいる」と明かしているのだと思います。
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