NTTの完全民営化を検討する前に先に議論するべき「旧政府系企業」 高橋洋一が指摘

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数量政策学者の高橋洋一が7月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。萩生田光一政調会長が考えを示した「政府が保有するNTT株売却の検討」について解説した。

NTTの完全民営化を検討する前に先に議論するべき「旧政府系企業」 高橋洋一が指摘

【NTT、ドコモ完全子会社へ】NTT 看板=2020年9月29日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

萩生田氏、「NTTの完全民営化を検討」と表明

自民党・萩生田光一政調会長は7月25日、防衛費増額に必要な財源確保に向け、政府が保有するNTT株売却の是非について本格的に検討を始めると表明した。

飯田)「NTTの完全民営化の選択肢も含め、議論を進めたい」と述べました。

民営化論で言えばJTを先に議論するべき ~NTT株を売っても4兆円~5兆円程度で、そのくらいの金額は他から出せる

高橋)NTTは通信インフラなので、売っても4兆円~5兆円だと思います。 そのぐらいの金額であれば、他のところから簡単に出せます。それに完全民営化する優先順位というか、政策論で言えば、JT(日本たばこ産業)の方が先ですよね。たばこ会社の株を政府が持っているという話は、先進国ではほとんどありません。健康政策をつくらなければいけないのだから。民営化論で言えばそちらが先だと思います。

政府がタバコ会社の株を持つことは利益相反になる

飯田)日本の場合、政府がJT株を持っているのは、何か理由があるのですか?

高橋)ないですよ。財務省が天下るから……でしょうか。葉たばこ農家のために、などと言っていますが、関係ないでしょう。他国ではそんなことはやっていませんし、そもそも株を持っていません。健康政策を行うときに株価が下がるでしょう。その矛盾が出るから株を持たないのです。アメリカに行ったときも言われました。

飯田)そうなのですか?

高橋)アメリカに行ったとき、「なぜ日本政府はたばこ会社の株を持っているのだ?」 とアメリカ人に言われました。

飯田)わかりやすく利益相反になってしまいますからね。

高橋)まずいですよね。財源論であれば、他に財源があるのに、よくわかりません。

飯田)NTTをめぐっては、携帯通信のNTTドコモと一緒になる話があったり、最近はいろいろ動いていますね。

高橋)2つ上場するのは不自然ですけれどね。

飯田)親子上場するような形。

高橋)「世界と比べて不自然なところを治す」という政策ならわかりますが。やるのであれば、株を持っているときに、そういうところを整理した方がいいと思います。

岸田総理「サラリーマン増税」を否定

飯田)防衛財源の話になっていますが、岸田総理は「サラリーマン増税に関しては頭の片隅にもない」と否定しています。

高橋)頭の真ん中にはあるのではないですか?

飯田)やはりそうですか?

高橋)正確に言うと、政府税制調査会と党税制調査会があるでしょう。党税調の方はないと思うけれど、政府税調にはあるでしょうね。政府税調の答申を書いているのは財務省の官僚だから、あるだろうと思うけれど。

飯田)政府税調にはある。

高橋)「岸田さんは考えていないではないか」とコメントした人がいるけれど、甘いですね。なかったら、そもそも260~270ページの厚い税調答申を最初に出させません。

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