「基礎的財政収支」2025年度も赤字はおかしい 高橋洋一が指摘

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数量政策学者の高橋洋一が7月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。内閣府が7月25日の経済財政諮問会議で示したプライマリーバランスの中長期試算について解説した。

「基礎的財政収支」2025年度も赤字はおかしい 高橋洋一が指摘

※画像はイメージです

基礎的財政収支(プライマリーバランス)、2025年度も赤字

飯田)昨日(7月25日)、経済財政諮問会議が総理官邸で開かれました。「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」の中長期試算では、経済成長率を高めに実現すると仮定した場合でも、2025年度は赤字になる見通しだということです。一方で税収はずいぶん上がっていますね。

高橋)過去最高でしょう。

飯田)70兆円を超えています。

税収は22年度は上がっているが、23年度以降は前と同じ ~税収が上がった分が反映されていない

高橋)税収増でも「2025年度は黒字化できない」と書いてあったので数字を見たら、1月の試算とほとんど一緒でした。

飯田)そうなのですか?

高橋)各年度の内訳もあるから見てみたのですよ。そうしたら、税収は22年度に上がって、23年度以降は前と同じでした。つまり、税収が上がった分が全然反映されていない。

22年度は68兆円から71兆円に上がっているが、23年度からの数字はほとんど一緒

飯田)「成長ケース」と書いてあるけれど、反映していない。通常は経済が成長すれば、同じ税率であっても金額は増えるはずですよね。

高橋)もちろん前も成長ケースなのだけれど、22年度だけ68兆円から71兆円になっていて、23年度からの数字はほとんど一緒でした。これはわざとです。

飯田)わざと。

高橋)数字だけ見ても、71兆円に上がり、その次の23年度には「ガタッ」と落ちるようになっているので、おかしいです。

飯田)そうなのですね。

高橋)前の数字は22年度が68兆円。その後は69兆円、71兆円、74兆円という感じになっていたのだけれど。

飯田)緩やかに上がっていく。

高橋)それが今度の改定では、22年度だけ「ポッ」と上がっていて、23年度以降は前とほとんど一緒です。

少子化対策などで歳出をあとから変えなければならないときの対応のために歳入も変えなかったか

飯田)そんなに税収が「ガタッ」と落ちるほど、経済が落ち込んでいるわけではないですよね。

高橋)名目成長率が4%という数字になっているから、不思議な計算をしているのです。なぜそんなことをするかと言うと、実は歳出の方もあまり変えられないからです。

飯田)歳出も。

高橋)要するに少子化対策などで、歳出の方はあとで変えざるを得ないでしょう。だからそれに備えてのバッファ、「そのときの対応のために歳入も変えなかった」と見ました。これは試算になっていません。

飯田)でも、それが内閣府試算として経済財政諮問会議に出てきている。

高橋)これを議論している諮問会議の人は何なのでしょうか。うしろ側の細かい表を見ればすぐにわかると思います。私のツイッターでは、黄色いラインマーカーを引いておきました。「変わっていないだろう」と。

飯田)ここがおかしいではないか、と。

高橋)うしろの方で係数がたくさん出てくるから、どこを見ていいかわからないのだと思うけれど。諮問会議の先生は専門家ではないですから。

経済財政諮問会議の民間議員 ~物価高の激変緩和対策について、縮小・廃止を求める

飯田)一方で民間議員の方々は、「物価高対策をもうそろそろ止めよう」というようなペーパーを出しました。

高橋)10月から止めることは一応決まっているのです。決まっているからそのまま書いているだけです。

飯田)決まっているから。

高橋)いま止めるのはいけません。要するに多少、上がっているところは抑えて……抑えるという意味は、補助金を出すから財政支出と一緒になるため、そこで持続的に上げる、継続する方向に向かうのです。しかし、ここで止めてしまったら、景気の先行きの腰を折る可能性があります。素直に物価には物価で対策すればいいのです。

飯田)なるほど。

2022年度の税収の上振れ分3兆円を減税に回す際、マイナンバーに公金を紐付けすればいい

飯田)そもそも論として、物価高対策で燃料代を補助しています。その前の議論では「ガソリン税の旧暫定税率部分を減税すべきだ」と、国民民主党の玉木さんなどが最初に提起していますよね。いつの間にか補助金に変わってしまいましたが、これをもう1回議論するわけにはいかないのですか?

高橋)議論したくないから、とりあえず10月まで行い、止めてしまう議論をしているのではないでしょうか。そうすると、それを復活させるというので、またそこの議論しかなく、税金の話に進まないではないですか。

飯田)なるほど。

高橋)昨年度(2022年)は3兆円余ったでしょう。それを使うのがいちばん簡単なのですよ。

飯田)税収の上振れ分が。

高橋)放っておくと半分以上は国債償還に使われてしまうのです。あれはいま、意味がないのですよ。だから、成長減税と言うのだけれど、上振れ分は減税に回すのが普通です。

飯田)上振れ分は。

高橋)減税に回すとき、マイナンバーカードで公金を紐付けすれば、すぐにできます。それがいちばん簡単です。それならマイナンバーカードへの批判も減るでしょう。

飯田)便利に使えますよと。

高橋)「公金を振り込むので、ちゃんとチェックしてください」と言うのです。みんな目を皿のようにしてマイナポータルにアクセスし、健康保険の紐付けを全部チェックしますよ。「間違っていたら、さらに詫び石としてお金をあげます」と言えば、マイナンバーカードの問題などなくなります。

飯田)1億2000万人がみんな協力してくれる。

高橋)みんなでチェックするのがいちばん簡単でしょう。予算をつけるよりはるかに簡単です。

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