元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が8月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。エッフェル塔を背景にポーズを獲る写真をSNSに掲載したことで批判が起きている自民党女性局のフランスへの海外研修について解説した。
自民党女性局の海外視察に抗議が殺到
飯田)国会議員の海外視察について批判が出ています。自民党女性局の方々がパリを訪れ、フランスで研修中に撮った写真をネットにあげたところ、物議をかもしているようです。エッフェル塔の前で塔を模したポーズをとるなど、「何をしに行ったんだ?」というようなことが言われています。議員による海外出張や研修は、現地の大使館などがさまざまなセッティングをするのでしょうか?
兼原)国権の最高機関の方々ですので、フルサポートになります。今回は地方の方もいるようですが、国会議員の方が来られるわけですからね。
外交議論する上でも海外視察は必要 ~バカンス休暇の期間は欧米ではアポが取れない
飯田)総論としては、その国を見ずに外交議論するより、現地を見るのは大事なことですよね。
兼原)直接行って見ていただかないと、説明してもわからないことがあります。実際に見れば「このようなものですか」とか、「言っても通じませんね」ということがわかりますので、来ていただいた方がいいですね。
飯田)行った先で何を見るか、誰と会うかなども、大使館でセッティングするのでしょうか?
兼原)先方に希望を聞いて、アポが入ればという感じです。「偉い人に会いたい」という人が多いですが、アポが取りにくい。
飯田)やはりその辺りは難しいのですね。
兼原)皆さん「大統領に会いたい」とおっしゃるのですが、なかなかそういうわけにはいきません。閣僚は忙しいですし、欧米では、8月はみんなバカンス休暇ですから。
飯田)7月~8月の時期は、特にフランスはバカンスを長く取りますものね。
兼原)バカンスはフランスの人たちの基本的人権ですから。絶対に譲りません。
飯田)なるほど。「パリにはいないよ」と言われても、「そうですか」としか言いようがないですね。
兼原)そうです。
国会会期中は外遊できないので、外遊のスケジュールは夏休みや冬休み、ゴールデンウィークに集中する
飯田)海外出張で知見を広げることもいいのですが、「この時期に行っても、誰にも会えないではないか」と首をかしげる人もなかにはいます。そうは言っても、「この時期に」ということはあるのでしょうか?
兼原)国会は1月~6月まであります。今回は「選挙が」という話があり、7月は動けませんでした。秋には特別国会があるかも知れません。会期中は絶対に外遊させてはくれませんので、スケジュールを押さえるとなると、夏休みや冬休み、ゴールデンウィークになってしまうのです。
飯田)その3つに集約されてくるのですね。それは総理も変わらないのですか?
兼原)総理も外遊を組むときは、やはり国会日程が最優先ですので、夏休みか秋か冬、ゴールデンウィークしかないのです。そこを初めから押さえて調整します。
総理大臣の外遊は1年前からスケジュールを押さえる
飯田)兼原さんは、特に第2次安倍政権の官邸にも長くいらっしゃいましたが、どこかのタイミングで通常国会が早く始まったときがありましたよね?
兼原)1月のときですね。外遊に関わるようなときは、外務省側の先方に謝るのです。国会が最優先ですので。
飯田)国会のスタートは1月終わりくらいですから、1月の真ん中くらいに仮で押さえていることがあるのですね。
兼原)先方との調整がありますので、それは必要ですね。総理に「どこに行きますか」と伺って決めます。総理の外遊や先方の国賓の受け入れが最高級の外交で、ここに最も大切な案件が上がってきます。そこに合わせて予定を組んでいくわけです。
飯田)国賓や日本の総理大臣が動くとなると、どのくらい先からアポを取るのでしょうか?
兼原)早ければ1年くらい前からです。なかには突然行く場合もありますが、国賓になると1年くらい前からですね。
飯田)1年前から。
兼原)フランスから安倍元総理が、中曽根さんに次ぐ2人目の国賓として呼ばれ、シャンゼリゼで大パレードを行う話もありましたが、そのときは集中豪雨で亡くなった方がいたためキャンセルになりました。外交ですから、1年間準備しても「ポン」と飛ぶこともあります。
飯田)そういう日程の組み方をしているのですね。
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