自動車業界に詳しい経済ジャーナリストの井上久男氏が8月15日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。電気自動車(EV)の急速な普及により、日本の自動車メーカーが苦戦を強いられている現状について、「マズい状況だ。乗り心地も含め、優劣はソフトウエアの力が決めるから」と解説した。
世界最大の自動車市場である中国での日本車メーカーの販売が減少している。急速な電気自動車(EV)シフトで中国での日本の乗用車の販売台数は2023年1~3月の累計で前年同期から3割以上落ち込んでいる。EVの急速な普及を追い風に中国メーカーが販売を伸ばしたことで、日本メーカーは苦戦を強いられている。
井上)EVはソフトウエアによって全てが制御されますから、ソフトウエア技術が鍵となります。一方、今までの日本の自動車産業の強みは機械です。トヨタなどは、このあたりに危機感を持ち始めています。
EVの2強とされているアメリカのテスラや中国のBYDは、EV開発でかなり先を走っています。このため、トヨタをはじめとするEV開発に出遅れた日本メーカーがこれから本気を出しても、テスラやBYDもさらに先へ行ってしまいます。ですから、テスラやBYDに水をあけられた差が、日本メーカーの追いつける距離なのかについて、私はマズい状況にきているのではないかと危機感を持っています。
辛坊)私、国内外のメーカーのEVに何台か試乗してみたんです。中国のEVなんて、きっとおんぼろだろうと思っていたのですが、びっくりするぐらいよくできていました。私は自動車の専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、「日本が世界一だぞ」といつまで言っていられるのかなという感覚は正直に持ちましたね。
井上)私も同じ感覚を持っています。BYDの技術者に話を聞いたところ、「ガソリンエンジン車からEVに乗りかえても違和感がないような乗り心地になるようにソフトウエアで制御している」といった言い方をされていました。このように、ソフトウエアの力によって乗り心地は変わってくるというのがEVの1つの大きな特徴であるわけです。乗り心地も含め、明らかにソフトウエアの力が商品、つまりEVの優劣を決めるといえます。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)