ジャーナリストの佐々木俊尚が9月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。国連総会の一般討論演説を行った岸田総理について解説した。
岸田総理が国連総会で演説 ~「人間の尊厳」の重要性を訴える
国連総会の一般討論演説が9月19日、ニューヨークの国連本部で始まった。長期化するロシアのウクライナ侵略や、それに伴う物価高などで貧困や飢餓が深刻化した途上国の開発支援が大きな焦点となる。岸田総理は19日夜(日本時間20日午前)、国連総会の一般討論演説に臨み、「人間の尊厳」の重要性を訴えながら国際秩序の立て直しに向けた協調を呼びかけた。
飯田)ゼレンスキー大統領は一般討論演説で、「ロシアの侵攻に対して団結を」と呼びかけました。
外交を「自分が中心」で進めたい岸田総理 ~内政にも力を入れて欲しい
佐々木)気になるのは、「岸田さんはどこまで外交に全振りするつもりなのか?」ということです。
飯田)外交に関して。
佐々木)林芳正外相が続投すると思っていたら、内閣改造で辞めさせてしまった。いろいろな報道を見ると、林さんが自分の外交を独自に発揮しすぎて目立つのが嫌なのではないかと言われています。総理大臣が「外交を中心にしたい」という姿勢は安倍さんからの流れで、岸田さんは外交をやりたい意思があり、そこを考えて上川陽子さんを外相に据えたと。
飯田)上川さんを。
佐々木)上川さんは法務大臣を長く務めていたので、その印象が極めて強いです。オウム真理教の死刑囚の大量執行にサインしたため、未だに警備が強くついているようです。
飯田)そうなのですね。
佐々木)実は、上川さんはハーバード大学のケネディスクールを出ているのです。林芳正さんもそうですね。英語が堪能なので、外相に適任なのではないでしょうか。年齢も70歳で安心感もあり、上川さんを据えたのかなと思います。
飯田)同じ派閥ですしね。
佐々木)上川さんもオウム真理教の大量の死刑執行を決断されるぐらいだから、実行力が相当ある人だと思うので、しっかり外交を行っていただけるのではないかと思います。
飯田)英語も堪能ですし。
佐々木)岸田さんには、もちろん外交もとても大事なのでやって欲しいけれど、相変わらず「内政、経済が弱い」という印象があります。外交は大事ですが、そこは上川さんにある程度譲って、内政にもバランスよく力を入れて欲しいという期待感もあります。
財政出動に積極的でない印象が強い ~最終的にはバランスの問題
飯田)海外出張への出発前に、10月には補正予算案を編成する意向を示しましたが、去年(2022年)の補正を見ても基金で積んでいるものが多く、本当に金が流れたのかどうか……。
佐々木)財政出動に対して「積極的でない」という印象があり、その辺りはどうなのでしょうか。外交は外交で大事ですが、最終的にはバランスの問題ですかね。
飯田)「核兵器のない世界」というメッセージの発信については、やはり広島出身の総理だけに外せないのでしょうか?
外交・安全保障に関しては順調に進めている岸田政権 ~不安なのは経済政策
佐々木)広島サミットを成功させて、安倍さん亡きあとの外交が一体どうなるのかと思いましたが、いまのところ外交・安全保障に関しては非常に上手くやっていると思います。自衛隊の防衛予算倍増についてもきちんと実行して、いろいろな面で「上手く継承しているな」という安心感はあります。
飯田)安保3文書の改定も岸田政権がやったことの1つです。
佐々木)就任したころは「大丈夫か?」と見られる部分もありましたが、現状、意外に実効力のある政権だという安心感があると思います。
飯田)その辺りの評価は、内政・外交・経済政策辺りですか?
佐々木)でも、経済政策は不安で仕方ないですよね。
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