処理水放出 韓国までが支持を表明し、中国は「引くに引けず」孤立
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日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が9月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐる中国の日本への対応について解説した。
中国の日本産水産物の輸入、67.6%減少
中国税関総署が9月18日に発表した貿易統計によると、中国が8月に日本から輸入した水産物の総額は、前年同月比67.6%減の1億4902万元(約30億円)だった。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、8月24日から日本の水産物輸入を全面停止したことが影響した。
世界中の国が日本の処理水放出に理解を示しているなかで、中国だけが「核汚染水」と言い、水産物の輸入も止めている
秋田)不思議なのは、世界中が日本の処理水の放出について、理解や支持を示しているわけです。国際原子力機関(IAEA)が「安全だ」と確認し、現在もモニタリングしていますよね。
飯田)しています。
秋田)さらにはG7やオーストラリア、また国内で反発のある韓国も、大統領がIAEAの調査結果を信頼していると言っています。世界中の主要国のなかで、中国だけが突出して日本の処理水を「核汚染水」と表現し、日本を叩いているという構図で、水産物もすべて止めてしまっている。これは一体何なのでしょうか。
処理水を外交カードとして、日本に圧力を掛ける手段にした中国
飯田)「環球時報」は「日本政府が悪いけれども、日本国民は悪くない」というような記事を掲載して、一時期は「少し緩むのかな」と思ったところがありました。しかし、相変わらず「核汚染水」という言葉を使っています。
秋田)もはや科学で言ってはいないと思います。政治的な問題として、彼らは日本に圧力を掛けているのです。紐解いていくと、アメリカと一緒になって台湾に関与しようとする日本の政策に対し、中国には「どこかで制裁的なことをしなければならない」という意識があります。
飯田)日本に対して。
秋田)政治制裁のようなものです。誰かが「処理水はカードになる」と言って、外交カードとして日本に圧力を掛ける手段にしたのだと思います。
韓国までが支持を表明し、引くに引けず、孤立して困っている ~国内で緊張が高まるなかで日本に譲れば「弱腰だ」と叩かれる
秋田)ところが韓国までが日本への支持を表明してしまい、引くに引けず、中国は孤立して困っている状況です。
飯田)引くに引けず。
秋田)ただ、権力闘争と不動産不況により、中国国内で圧力釜のような緊張が高まっている状況では、引けないだろうとも思うのです。日本に譲れば「弱腰だ」と言われて、政治のライバルに足を引っ張られてしまう。中国国内が不安定になると、反日的な日本叩きのようなものが始まって、終わらない。これまでも繰り返されてきましたが、それに近いような状況なのだと思います。
引くに引けない状況をメディアも同意してつくってしまっている
飯田)かつての反日暴動のようなものは、政府がコントロールしていたと言われていますが、今回のいたずら電話などを見ると、個々が勝手にやっているようにも見えます。政府はコントロールできているのでしょうか?
秋田)食の問題でもあるので、中国人の間でも、かなり不安が広がっているようです。引くに引けない状況を中国自身がメディアも同意してつくってしまっていることが心配です。
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