バイデン大統領の再選を脅かす第3政党「ノーレーベルズ」の存在
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが9月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次期米大統領選について解説した。
米バイデン大統領の支持率が37%に
アメリカのワシントン・ポスト紙とABCテレビは9月24日、2024年大統領選挙で再選を目指す民主党・バイデン大統領の不支持率が56%で、支持率の37%を大きく上回ったとの世論調査結果を発表した。経済対策を支持するとの回答は30%、中南米からの移民流入への対応では23%に留まり、内政面への不満が顕著となった。
飯田)9月15日~20日に行われた調査だそうです。大統領選に向けて、この数字はやはり不安でしょうか?
クラフト)予備選が来年(2024年)の1月から始まりますが、現職の大統領はこの時期、低迷しやすいのです。
次期大統領選での支持率では、トランプ氏51%、バイデン氏42%
クラフト)むしろ注目は野党に向きやすいので、弱いことは不思議ではないのですが、来年の大統領選でどちらが勝つかというワシントン・ポスト紙の支持率の発表によると、トランプ氏が51%、バイデン氏が42%となっています。
飯田)その2人が出たら、ということですね。
クラフト)ワシントン・ポスト紙は左派メディアです。左派のメディアでこれだけの大差がつくのは異例であり、そういう面では非常に心配です。
米大統領選に第3政党の出現 ~民主党のマンチン上院議員を引き抜き立候補させるのでは
クラフト)そこにもう1つ、バイデン氏の人気が低迷するなかで第3政党が出現しています。まだ正式発表はされていませんが、「ノーレーベルズ」という超党派による中道派層の党です。なかでも、民主党の保守派であるジョー・マンチン上院議員を引き抜いて、立候補させるのではないかと言われています。
飯田)ノーレーベルズ。
クラフト)これが実現すると、バイデン大統領に不満を抱いている民主党層の票をごっそり取っていく可能性もあります。1992年、ビジネスマンである共和党のロス・ペロー氏が出馬して、ジョージ・H・W・ブッシュ氏の票の2割を奪い、それで無名のビル・クリントン氏が当選したのです。
第3政党が出てくれば、バイデン氏の票を奪い、トランプ氏再選の可能性が強くなる
クラフト)その状況が再現されかねません。バイデン氏とトランプ氏の一騎打ちになれば、人気低迷のバイデン氏でもギリギリ勝てるでしょうが、第3政党が出てくるとバイデン氏は非常に危ないと思います。そうなると、トランプ氏再選の可能性が現実味を帯びてきます。
飯田)第3政党が出てくれば。
クラフト)とにかく、アメリカの政局では暗くなるニュースしか出てきません。トランプ政権になった場合、世界中が安全保障で大変なことになります。
バイデン政権の戦略ミスは左派に寄りすぎてしまったために中道派層を取りこぼしたこと ~選挙を見据え、真ん中に寄せるトランプ氏
飯田)バイデン政権は、どちらかと言うと左派の人たちの支持を非常に気にしています。マンチン氏のような保守派というか、地元がエネルギー産業などが豊富にあるところなので、「CO2削減と言っても、段階的に進めなくてはダメだろう」というような人たちが離反し合うわけですか?
クラフト)バイデン政権の戦略ミスは、左派、進歩派に片寄り過ぎてしまったがために、中道派層を取りこぼしてしまっているところです。2024年の大統領選の勝負は、「中道派の無党派層をいかに取り込めるか」が重要ですので、バイデン大統領はそこに寄り添わなければなりません。
飯田)バイデン大統領は。
クラフト)面白いのは、それを察知してか、トランプ氏が真ん中に寄せてきているのです。中絶などの問題で、より現実的に真ん中寄りに修正しており、逆に共和党の極右派からは批判を浴びています。
飯田)共和党の極右派からは。
クラフト)トランプ氏はしたたかに本選を見据え、より真ん中に軸足を置いてきています。バイデン氏はそれがまだできておらず、戦略ミスも1つあると思います。
人気のあるトランプ氏は既に本選のために政策を打ち出す
飯田)本来ならば、党内で予備選がある共和党候補の方がいったん右に振るのですが、トランプ氏は人気があるから、本選のための政策を出せるのですね。
クラフト)そうです。「もはや自分は予備選に勝ったのだから」と。対応が早いのですが、既に中道派層を取り込む方向で動いているということです。これは脅威ですよね。
共和党の第2回討論会も欠席し、デトロイトで演説する予定のトランプ氏
飯田)共和党の候補指名争いをめぐり、第2回討論会が27日から行われますが、トランプ氏は討論会を欠席し、全米自動車労働組合の人たちのところへ行くと言っていますね。
クラフト)候補者討論会に出る必要がないのです。「彼らとは次元が違うのだ」ということです。マイナス面しかありませんので、あえて出ないのでしょう。
飯田)意味がないと。
クラフト)逆にバイデン氏の支持層である自動車労働組合へわざわざ行き、「私が大統領になったら、君たちはこんなストライキをする必要はない。面倒を見てあげるから」と。おそらく「バイデン大統領が悪い」という内容を言うのでしょう。本選に向けた戦いにトランプ氏が移行しているのが嫌な感じですね。
飯田)あと1年あると考えて、ここから活動していったらそれは強いですよね。
クラフト)心配です。バイデン氏にはもう少ししっかりしてもらわないと困ります。私はバイデン大統領が好きなわけではありませんが、またトランプ政権に戻るかと思うと、背筋が凍ってしまいます。
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