中国連休 旅行先一番人気の日本 「オーバーツーリズム」の懸念

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一橋大学・商学部准教授の上原渉氏が9月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国からの訪日観光客について解説した。

中国連休 旅行先一番人気の日本 「オーバーツーリズム」の懸念

中国人観光客が銀座で「爆買い」=2015年10月4日午後、東京・銀座 写真提供:産経新聞社

中国で9月29日から国慶節の大型連休がスタート ~海外旅行先では日本が1番人気

中国は9月29日から国慶節(建国記念日)の大型連休が始まった。中国では8連休の期間中、過去最多の延べ20億人以上が移動すると予想されている。中国のインターネット検索大手百度(バイドゥ)などが26日に公表した海外の旅行先では、日本が「一番人気」となっている。

今回の訪日客は個人旅行客がほとんど ~処理水の問題で「日本に行くことがみんなに自慢できることではない」という気持ちから団体旅行客は見合わせている

飯田)旅行業界についてお聞きしたいのですが、中国から日本に来る便は満席が多いと言われています。少し前までのイメージとは違うように見えるのですが、どうご覧になりますか?

上原)きょう(9月29日)は中秋節で、10月1日は国慶節なのですが、この8連休で日本は大人気なわけです。ただ、ここで理解しないといけない点は、中国の場合は個人旅行と団体旅行という2つのスタイルがあり、おそらく今回来られている方の多くは、個人旅行ではないかと思います。

飯田)団体旅行ではなく。

上原)一方、かつて「爆買い」が話題になったように、大型観光バスで乗り付け、たくさん買い物するような旅行の形態があります。しかし、処理水のこともあって、日本に行くことが「みんなに自慢できないのではないか」というような気持ちがあり、団体旅行の方はまだ見合わせているのではないかというのが私の見方です。

飯田)団体旅行で来るような人は、「周りに自慢したいために来る」というようなインセンティブがあったのですか?

上原)団体旅行客は、基本的に所得水準がそこまで高くない方たちです。特に日本に来るのが初めて、あるいは2回目ぐらいの方々が中心だと思います。海外旅行に慣れていないので、「○○に行ってきたよ」と周りに話すことも楽しみの1つになっているわけです。いまの日本は処理水の問題で、中国ではそれができない場所になってしまった。

これ以上、中国からの団体客が増えるとオーバーツーリズムとなる可能性も

飯田)全体としては、いまはまだ便数も少ないから満席が出ているのかも知れない。この先の流れとしてはいかがですか?

上原)団体旅行客に戻ってきて欲しいかどうかは、考えなければいけないポイントだと思います。個人旅行の方は、団体旅行の方に比べると比較的所得が高めで、日本のさまざまな地域を複数回訪れるような方が多いわけです。

飯田)個人旅行の人は。

上原)日本は最近、観光客が多く来過ぎてしまって、オーバーツーリズムとなり、住民の方などとのトラブルも増えてきています。団体旅行客がさらに来てしまうと、「日本の観光地の限界を超えてしまうのではないか」という見方もあると思います。

飯田)オーバーツーリズムの問題。

上原)個人旅行の方が好んで来てくれて、しかも日本での消費額が比較的多い方々であるとするならば、「どこまで団体旅行客に戻ってきてもらうのか」については検討する余地があると考えています。

観光地と言えども地域住民のことを考えなければ共存できない ~オーバーツーリズム

政策アナリスト・石川和男)オーバーツーリズムの「何がオーバーなのか」に疑問を持つ方もいると思います。爆買いしてしまうから「需要がオーバー」なのか、それともトラブルが多く、「そういう観光客はもう来ないで欲しい」というオーバーなのか、具体的に教えていただけますか?

上原)一般的には後者です。「これ以上受け入れられない」というような状況をオーバーツーリズムと呼んでおります。

石川)つまり、簡単に言うと観光地側が「もうあまり来てくれるな」ということですか?

上原)例えば京都の場合、駅からのバスに長蛇の列ができて、住民の方が乗れないというトラブルも起きています。ホテルやレストランなど、観光業に従事している方々にとっては満員御礼でいいのかも知れませんが、「観光地と言えども、住民のことを考えないと共存できない」という考え方があります。

オーバーツーリズムは観光客の観光経験にも影響する

飯田)近隣の一般社会が受け入れるかどうかが、これから先のキーになるわけですね。

上原)オーバーツーリズムは、観光客の観光経験にも影響します。具体的に言うと、混んでいるところは不愉快だということもありますが、住民の方が喜んでいない、どちらかと言うと住民の方から冷たい目で見られるような観光地は、観光客にとっても居心地が悪いと思うのです。

飯田)観光客にとっても。

上原)「住民の方々が喜んで受け入れている」という状況が、観光客の方の素晴らしい観光経験を生み出していくと考えると、やはりオーバーツーリズムの問題は、真剣に考えなくてはいけないと思います。

日本人も海外の観光地におけるオーバーツーリズムについては気を付けなければならない

石川)先日、大阪へ出張に行きました。通常であればチェックインは数分で終わるのですが、その日は45分待ちました。

飯田)そんなに。

石川)もちろん中国人だけではなく、欧米人の方などもいましたが、こちらからすると「遅い」という思いはありました。これもオーバーツーリズムかも知れない。以前、ハワイに多くの日本人が行った時期がありましたよね。

飯田)日本人が。

石川)我々日本人も、そういうことに注意する必要がありますか?

上原)日本人は総数が多いかと言うと、それほど多くないので、世界各地の観光地に日本人が来過ぎているという話は、最近はあまり聞きません。しかし、かつてパリの高級ブランドバッグを買いに、日本人が行列をつくったこともありました。

飯田)ありましたね。

上原)当時の現地では、「また日本人が」というように見られていたかも知れません。

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