ジャーナリストの佐々木俊尚が10月4日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。日本維新の会に無断でロシアを訪問した鈴木宗男議員について解説した。
鈴木宗男参院議員、党に無断で渡航中止勧告のロシア訪問 ~「ロシア寄りの人がロシアに行って伺いを立てている」としか思えない
日本維新の会の鈴木宗男参議院議員が、政府が渡航中止勧告を出しているロシアを訪問し、外務次官と会談した。日本維新の会は、党に無断で訪問したとして処分を検討している。
新行)去年(2022年)2月のウクライナ侵攻後、日本の国会議員のロシア訪問が明らかになったのは初めてです。鈴木氏は首都モスクワで記者団の取材に応じ、日本などアジア地域を担当しているルデンコ外務次官などと、10月2日に会談したことを明らかにしています。
佐々木)鈴木さんは「こんなときだからこそ対話が必要という思いで来た」と言っています。しかし、確かに対話は必要なのだけれど、これまでロシア寄りの発言を繰り返してきた人が「対話が必要だ」と言っても、「その対話に意味はあるのか?」と思います。
新行)鈴木さんがそう言っても。
佐々木)もう少しニュートラルな立場の人がロシアに行って対話するなら、まだわかるのですが、単に「ロシア寄りの人がロシアに行って伺いを立てている」としか思えません。
「ウクライナは停戦せよ」という左派系のロシア寄りの知識人に危惧を抱く人が増えている
佐々木)ただ、これは鈴木宗男さん1人の問題ではなく、同じようにいまの日本には親ロシア派の人がたくさんいるのです。特に左寄りの人に多い。それについてどう考えればいいのか……。このことに対して危惧を抱く人も増えています。最近では、左派系だと思われていた国際ジャーナリストの志葉玲さんが、「Yahoo!ニュース」で個人記事を書いています。
『ウクライナを踏み台に「平和」を語るリベラル知識人の貧困』
~「Yahoo!ニュース」エキスパート(2023年9月29日配信記事)より
佐々木)同じ左派系の知識人たちが、「ウクライナは停戦せよ」というようなことを言っているのに対して、強く批判しています。普通に考えれば当たり前のことですが、その当たり前が通じなくなっており、左派の内部でも危惧する人が出てきているという状況だと思います。
反米路線の人たちが「ロシアと中国を応援する人たち」になっている
新行)佐々木さんの最新刊『この国を蝕む「神話」解体』のなかでも、「古い知識人たちは、なぜ“ウクライナ人は降伏せよ”と言いたがるのか」と書かれています。
佐々木)かつて、日本の学生運動でも「ベトナム戦争反対」と言っていましたが、あの人たちは一貫して反米路線なのです。
新行)反米路線。
佐々木)ロシアのウクライナ侵攻に関しても、ウクライナを支えているのは西欧のNATO諸国やアメリカですよね。反米をこじらせるあまり、反米路線で言うと「アメリカが支えているのだからウクライナはけしからん」という話になり、なぜかロシア寄りになってしまっているのです。
新行)なるほど。
佐々木)処理水放出の件でも、中国が怒っているから「中国がお怒りだぞ!」と言う人がたくさんいる。左派でリベラルと名乗っていたのに、いつの間にか「ロシアと中国を応援する人たち」になっているという、よくわからない構図があります。
ウクライナの人が「戦う」と言っているのだから、「それを支えるのが我々の仕事」であることを再認識するべき
佐々木)普通に考えれば、ウクライナには「国を守らなければならない」というウクライナ人たちの自主性があるわけだから、勝手に「アメリカの代理戦争」と言うのはお門違いですよね。ウクライナ人が「戦う」と言っているのだから、それを支えるのが我々の仕事だということをもう1度、再認識したいと思います。
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