数量政策学者の高橋洋一が10月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日銀が上方修正する検討に入った2023年度の消費者物価上昇率の見通しについて解説した。
日銀、物価見通しを上方修正へ
日本銀行が2023年度の消費者物価上昇率の見通しを、7月に示した前年度比2.5%から3%近くに上方修正する検討に入ったことが10月10日、わかった。日銀の想定以上に企業の値上げが続き、足元で原油価格が上昇していることを反映する。
3%になっても問題ない ~インフレ目標のマネジメントとして考えれば誤差の範囲
高橋)誤差の範囲です。2.5が2.8や2.9程度になるくらいであり、大げさに言う話ではないと思います。桁が違うほどでなければ、大きく変化しません。
飯田)月末に消費者物価指数や、都区部の速報値なども出てきていますが、その辺りを見ても少し落ち着いている感じがします。
高橋)落ち着いていますよ。3%になっても大した話ではありません。コンマの話を大げさに言いますが、「2%の物価目標」と言っているときに、プラスマイナス1%くらいは問題ないですよ。3%くらいになってもまったく問題ない。「何を気にしているのだろう」と思ってしまいます。
飯田)3%でも問題ない。
高橋)ラフな人であれば、「4%くらいになっても関係ない」と言います。そのぐらいの話です。インフレ目標のマネジメントとして考えれば誤差の範囲だから、「関係ない」で終わってしまいます。
失業率を見て有効求人倍率を2%弱にすることが目標
飯田)補正予算の話などもありますが、よく「財政をふかしすぎると物価が上がってしまうのではないか」などと言われますよね。
高橋)上がっても悪くありません。下限の失業率さえ確保できればいいのです。
飯田)なるほど。だから「物価だけを見ていてはダメだ」と言うのですね。
高橋)失業率を見て、失業率をいちばん先に下げる。だから有効求人倍率を2弱にするのがいちばんの目標です。
失業率が下限にならなければ賃上げにはならない
飯田)雇用の部分はいかがですか?
高橋)雇用はまだ失業率が高く、有効求人倍率はマックスより少し低い数字ですね。それはダメです。もう少し財政金融でふかさないと、きちんとした完全雇用にはなりません。
飯田)「賃上げだ」と言われますが、なかなかそういう感じには進んでいません。非正規では上がってきている人もいるのでしょうか?
高橋)失業率が下限にならないから、賃上げにならないのです。ただ単にそれだけです。
飯田)失業率が下がるところまで下がれば、本当に人が足りなくなってしまう。
高橋)そこまでいかないと、失業率の話を抜きに「賃上げしてくれ」と言っても無理ですよ。
飯田)そのためにはインフレ率も一定程度、高くしないと動かない。全体として、相変わらず「最後の1ピースが埋まらない」という状況ですね。
高橋)そうですね。
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