琉球帰属論において中国側に有利な材料を与えた玉城知事の「軽率な行動」

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キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司が10月6日、ニッポン放送「小永井一歩のOK! Cozy up!」に出演。国が沖縄県の代わりに承認する「代執行」に向けて提訴した辺野古の地盤改良工事について解説した。

琉球帰属論において中国側に有利な材料を与えた玉城知事の「軽率な行動」

国連人権理事会への出席を発表する沖縄県の玉城デニー知事=2023年9月8日午前、沖縄県庁 写真提供:産経新聞社

辺野古の地盤改良工事、国が沖縄県の代わりに承認する「代執行」に向け提訴

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古での地盤改良工事をめぐり、国は沖縄県の代わりに工事を承認する「代執行」に向けて10月5日、福岡高等裁判所那覇支部に訴えを起こした。辺野古での地盤の改良工事をめぐっては9月、沖縄県の敗訴が確定し、国は10月4日までを期限に工事を承認するよう「指示」を出していたが、沖縄県は「期限までに承認は困難」と回答し、承認していなかった。

「中国の台湾統一への抑止」に向けてプラスにはならない

小永井)期限までの承認は困難ということで、承認するかしないかについて、今後の含みを持たせているところでしょうか。

峯村)米中が対立を深めている台湾問題のなかで、最前線となる沖縄の存在はいちばん重要です。その沖縄がこのように混乱しているのは、「中国の台湾統一への抑止」という観点から言うと、プラスにはならないと思います。

琉球墓を訪れた写真を撮られ、琉球帰属論において、中国側に有利な材料を与えた玉城知事

峯村)2023年7月に玉城知事が中国を訪問しましたが、「あの方は中国で何をしたのだろうか」と思います。夕刊フジの私の連載「ニュース裏表」にも書いたように、玉城さんが訪中する1ヵ月前の6月に、習近平国家主席が琉球発言をしたわけです。

小永井)中国国家版本館を見学した際に。

峯村)沖縄の帰属問題を言ってきた。それに対して玉城さんは、会見で「大した問題ではない」と言いましたが、結果としてどうだったか。玉城氏は北京にあった琉球墓という当時の琉球王国の人たちが朝貢で訪中して亡くなった人たちの墓を訪れて、その際に中国メディアに写真を撮られました。この写真が中国のメディアやネット上に出回りました。結果として、琉球帰属論を展開する中国側に有利な材料を与えてしまったわけです。

玉城知事が訪中の際、尖閣問題については触れずに「友好だ」と言うのは無責任

峯村)玉城知事ご本人に意図があるかどうかはわかりませんが、結果として、訪中が中国側に利用されたのは間違いない。沖縄県のなかには尖閣という、中国から「自分の領土だ」と言いがかりをつけられている土地があるわけです。

小永井)そうですね。

峯村)そこについては何も言わずに「友好だ」と言うのは、自治体の長として無責任だと思います。訪問すること自体は否定しませんし、地方自治体としての外交もあっていいとは思います。しかし、やはり責務を果たしてから行うべきでしょう。

習近平氏が琉球発言をしたということは、「ゴーサイン」ということ

小永井)峯村さんもX(旧ツイッター)で記事を引用されていましたが、習近平氏の発言後に中国の百度(バイドゥ)のサイト内で、琉球独立を訴える記事が多くなりました。それについて、中国政府の世論工作ではないかという話も出ています。

峯村)それは断言できます。なぜならば、中国側は既に10年掛けて琉球帰属問題を研究しているわけです。その最高指導者である習近平氏が琉球発言をしたということは、「ゴーサイン」なのです。しかし、日本のメディアはどこも取り上げないし、専門家も誰も言いません。

小永井)そうでしたね。

峯村)その感度の悪さには呆れます。いままで「琉球問題」が中国共産党としてどのように扱ってきたかについて、勉強していないのですよね。北京の特派員などもそうですが、その辺りに反応できない。しかも人民日報の一面に出ていたにもかかわらず、それを何も取り上げないのは問題だと思います。

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