数量政策学者の高橋洋一が10月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ノーベル経済学賞を受賞したクローディア・ゴールディン氏について解説した。
ノーベル経済学賞にゴールディン氏 ~「男女間の格差是正」など研究
飯田)今年(2023年)のノーベル経済学賞に、ハーバード大教授のクローディア・ゴールディンさんが選ばれました。女性の労働市場への参加について、アメリカの200年以上にわたるデータを集めたということです。
高橋)この方は、経済史を学んでいる人には知られています。今年はピケティ氏のように、所得格差などを研究する方が選ばれるのではないかと言われていましたが。
飯田)トマ・ピケティさん。
高橋)「男女格差できたか」という感じはしました。
過去のデータを丁寧に研究してきた「経済史の人」
高橋)男女格差をずっと研究してきたのは、この方ぐらいしかいないのでしょうね。ピケティさんと似ているのだけれど、理論というよりも、「過去の膨大なデータを丁寧に研究してきた人」という印象です。どちらかと言うと、「経済史の人」という感じがします。
飯田)経済史。
高橋)歴史の部分ですね。
農業が主流だった時代は女性も労働参加していた ~のちに男性が働き、女性が家事・育児をするという役割分担になった
飯田)農業が主流だった時代は、女性も労働参加していたけれど……。
高橋)意外ですよね。最初は労働において、女性にも頼っていた。そのうち女性の労働がなくなり、再びサービス化で頼られ、「M字カーブ現象」などが出てきた。「これはどこの国も似ている」ということを言った有名な方です。
飯田)一旦、工業化された時代に、工場へ労働が集約されたタイミングで、子育て等々もあるので男性が働き、女性が家事・育児をするという役割分担になった。
高橋)労働への女性参加は最近の流れだと言いますが、よく考えれば、昔の農業には女性も参加していたのですね。
飯田)ある意味で職住近接していたから、そういうことができたけれども。
高橋)それをアメリカの古いデータを使って整理した……そう思っていました。
ノーベル賞は「その人しかやっていない」ことがポイント
飯田)ゴールディンさんの研究は、日本の(労働に関する)政策の根拠にもなっていると言われますが。
高橋)直接そうではないと思いますが、そのような説明をするのですよね。「研究したのがこの人くらいしかいないから」ということです。歴史のデータを整理したことが大きな貢献なのでしょう。
飯田)歴史のデータを。
高橋)ノーベル賞は、「その人しかやっていない」ことがポイントになります。どんな分野でもそうで、金鉱を掘り当てるようなものです。最初にやった人が尊敬を受ける。その研究がその後どうなるかはわかりません。全然研究が進んでいない分野も少なくない。
ノーベル経済学賞に最も近い日本人
飯田)「日本人の受賞」に関しても言われますが。
高橋)プリンストン大学教授の清滝信宏さんは、ノーベル経済学賞に最も近いところにいると言われています。しかし去年(2022年)、バーナンキ氏が獲ってしまった。同じ分野なのですよ。
飯田)そうなのですね。
高橋)同じ分野だから、すぐには獲れないでしょうね。でも、清滝さんは私と同い年だから、まだまだ長生きすれば獲れるのではないでしょうか。
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