岸田総理の言う「防犯カメラの設置」は「性犯罪の事前防止」にはならない ~「日本版DBS」法案の課題

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ジャーナリストの須田慎一郎と中央大学法科大学院教授で弁護士の野村修也が10月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「日本版DBS」法案について解説した。

岸田総理の言う「防犯カメラの設置」は「性犯罪の事前防止」にはならない ~「日本版DBS」法案の課題

※画像はイメージです

「日本版DBS」法案、臨時国会への提出見送り

子どもと接する職場で働く人に性犯罪歴がないことを確認する新制度「日本版DBS」の法案をめぐり、加藤こども政策担当大臣は、10月20日に召集される臨時国会への提出を見送ることを表明した。確認を義務づける対象の職種や性犯罪歴を証明できる期間などについて、与党内から「内容が不十分」との意見が相次ぎ、調整に時間を要すると判断したとみられる。

「事前防止をどうするのか」というところの議論を深めるべき

飯田)学校や保育施設などで働く人が対象になっていくようですが、人権との絡みもあるのでしょうか?

野村)もちろんそうなのですが、過去には(性犯罪歴のある人が)ノーチェックで教育現場などに入り、また同じことを繰り返すという事例もあります。性癖の部分がありますので、「それをどう防止するか」という話です。今回、目指していたのは事前防止なのです。

飯田)事前防止。

野村)岸田総理は新しく設置するカメラで対応しよう、と言っているのですが、カメラの設置はどちらかと言うと証拠集めに使われるもので、事前防止にならない部分があります。「どう事前防止するか」についての議論を深める必要があると思います。

無認可保育所や塾などは対象にならないことも不十分

飯田)性犯罪は再犯率も高いと言われますよね?

須田)一定程度の治療的な対応を取らないと、再犯防止は難しいと言われています。しかし、親御さんにしてみれば、かなり深刻な問題です。加えて今回の法制によれば、政府が何らかの形で認可しているような施設や保育所などは対象になるのですが、無認可保育所や塾などは対象にならないため、そこも不十分です。

飯田)無認可保育所や塾などは。

須田)そこをどうしていくのかが、1つ大きなポイントとして挙げられると思います。

野村)結局、どこかを締めても抜け道があると、そちらに人が流れてしまう部分があります。全体的にきちんとした事前防止ができるのかどうか。やはり人権への配慮というところから穴ができてしまうわけです。

飯田)人権への配慮から。

野村)もう少し議論を深めなくてはいけません。ある意味では神学論争的な部分を、もう少し現実に合わせてどこまで行えるのかという議論に落とし込む必要があると思います。

被害を受けた子どもの心の傷は大きい

須田)納得がいかないのは、ことさらに「加害者の人権」について言う方々がいることです。それは世の中において受け入れられるのかどうか。一定程度の人権は配慮しなくてはいけませんが、それを認める一方で、被害者が出てくるというのは納得いかないですよね。

飯田)子どもが被害者になってしまうと、その後の人生に及ぼす影響はとても大きいですよね。

野村)子どもたちの心の傷を考えると、一生消えないようなものになってしまうわけです。先生ですから、信じているのですよ。信じている人から考えられないような被害を受けた場合、心の傷はかなり大きくなる。普通の犯罪とは違うのですから、事前防止しなければなりません。

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