相手を認めない国同士の「2国家解決」は可能なのか パレスチナ情勢

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ジャーナリストの須田慎一郎が10月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。10月21日にエジプトで開催された「カイロ平和サミット」について解説した。

イスラム組織ハマスの襲撃で多数が犠牲となった音楽フェスティバルの会場近くに残された車=2023年10月10日、イスラエル南部(ロイター=共同)

イスラム組織ハマスの襲撃で多数が犠牲となった音楽フェスティバルの会場近くに残された車=2023年10月10日、イスラエル南部(ロイター=共同)

エジプトで「カイロ平和サミット」開催、ガザ地区の人道支援などを協議

イスラム組織ハマスが実効支配するガザ地区の情勢などを協議する国際会議「カイロ平和サミット」が10月21日に開催された。会議では各国からガザ地区で軍事作戦を続けるイスラエルに対して非難の声が相次ぎ、ガザ地区の緊張緩和や人道支援の方策などについて意見が交わされた。

飯田)ハマスとイスラエルを仲介した実績のあるエジプトの呼び掛けで開催されました。日本からは上川外務大臣が出席しました。

「2国家解決」に持っていかない限り、一時停戦してもいつ衝突が起こるかわからない

須田)ハマスとイスラエルの軍事衝突ですが、これを一時的な停戦に持ち込むのか、それとも恒久的な解決に持っていくかとなると、最終的なゴールはどう考えても「2国家解決」なのです。つまり、パレスチナという国を認め、イスラエルという国を相互に承認するという形しかありません。

飯田)2国家解決ということで。

須田)2国家解決の形に持っていかない限り、一旦停戦に持ち込んでも、「いつまた衝突が起こるかわからない」という不安定な状況が続くことになります。ところがネタニヤフ政権を含め、イスラエルサイドにパレスチナという国を認める意欲があるのかどうかが、あまり見受けられない。

お互いに相手を国として認めていない ~エジプトが間に入ってもどうにもならない

須田)ハマスも2017年に基本方針を出しているのですが、それを読み込んでいくと、イスラエルという国の存在そのものを認めていないのです。そういった状況のなかで「一時停戦」があり得るのか。また一時停戦にしたところで、長期的な和平に結びついていくのかと言うと、疑問を感じざるを得ません。

飯田)一時停戦したとしても。

須田)その辺りをどう調整していくのか。エジプトが呼び掛けていますが、これまでのようなハマスとイスラエルの小競り合いなら、エジプトが間に入って収まると思います。しかし、ここまで衝突が激しくなってしまうと、いくらエジプトが間に入ったところで、どうにもならないのではないでしょうか。

イスラエル人の入植が進み、パレスチナ人居住区を侵食

飯田)2国家共存というプランは、30年前の「オスロ合意」を起点としています。あそこから和平に進むのかと見られていましたが、お互いの国の選挙やいろいろなことがあり、むしろ強硬な方に後退している感じですよね。

須田)ただ、これも問題があって、第二次世界大戦後、とりあえずパレスチナという土地がありました。そこでいろいろと紆余曲折あり、ヨルダン川西岸地区とガザ地区になったのですが、結果的に第二次世界大戦後のパレスチナという地域のなかで、ハマスも含めてパレスチナサイドが実効支配しているところは、たった8%ほどまで減ってしまったのです。

飯田)そうですね。

須田)なぜかと言うと、イスラエルサイドの入植が進んだからです。この辺りを考えると、現状で解決するのはなかなか難しいところがあります。

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