経済アナリストのジョセフ・クラフトが10月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。公取委が独禁法違反疑いで調査を開始したGoogleについて解説した。
Googleを独占禁止法違反の疑いで調査
公正取引委員会は独占禁止法違反の疑いで米Googleの調査を始めたと発表した。Googleは自社の基本ソフト(OS)であるAndroidを使ったスマートフォンメーカーに対して、出荷するときにGoogleの検索アプリを入れるよう求めた他、アプリを見えやすい位置に配置させている疑いが持たれている。
飯田)今朝(10月24日)の朝刊各紙、東京最終版では朝日新聞と毎日新聞がこのニュースを一面トップで掲載しています。
欧州では2018年に約6900億円の制裁金が課せられている ~アメリカでも9月から反トラスト法の審理が
クラフト)このような問題は以前から指摘されています。欧州では2018年に問題視され、実際にGoogleに対して約6900億円の制裁金が課せられました。アメリカでも反トラスト法の訴訟で、9月から審理が始まっています。どちらかと言うと日本は遅かったのではないかと思います。
飯田)欧米に比べて。
クラフト)Googleについては定着しており、普通にGoogleで検索するようになってしまっています。ただ、正すものは正していただくことに関しては何の問題もないので、進めて欲しいと思います。
飯田)確かに日本の場合はiPhoneが普及していて、Androidの入ったスマホのシェアが、他国と比べるとあまり高くないですよね。その辺りも、公取の動きに影響しているのかも知れません。
クラフト)ただAppleに関しては、去年(2022年)から指摘されているので、私は同時にやってもよかったのではないかと思います。いずれにしても、調査を始めたのはいいことだと思います。
この教訓を活かし、AIに対してもルールづくりや制限を設けるべき ~20年経ってからでは遅い
飯田)今後は行政調査が行われ、さらに違反と認定されるかどうか、あるいは改善計画を出させてそれを認定するのかどうかなど、今後の流れに進みます。
クラフト)根本的な問題として、これからAI時代に入ると言われています。20年前にこのようなプラットフォームが浸透し始めたとき、最初から問題に対するルールづくりや制限などを設けなかったので、SNSなどのプラットフォームを超えた検索機能での応用が間違った状況になってしまった。
飯田)最初からルールや制限を設けなかったために。
クラフト)それを繰り返さないためにも、今後普及するAIに対し、この教訓を活かしてそれなりのルールづくりや制限を設けていく必要があります。「20年経ったから直そう」ということでは遅いです。
飯田)既成事実が積み上がってしまっている。
クラフト)そうなのです。これはこれで正すべきですが、何よりも大事なのは、AIが普及する前にきちんとルールづくりをすることです。今度、日本が率先してG7の場で議論しますので、ぜひ進めていただきたいですね。自由にできることとは別に、規制は規制でやらなければいけません。
日本がリーダーシップを発揮してAIに関するルールづくりや規制を進めるべき
飯田)事前規制、事後規制というところで、日本や大陸法の国々は事前規制を重視する。一方、英米法のアメリカやイギリスなどは、何かがあったときに手当てすればいいという形で、まずは自由にやってみて、イノベーションを伸ばそうとします。どちらかと言うとネットの世界は、そちらの方が相性がよかったのだけれど、「そればかりでもいけない」ということですか?
クラフト)だから今度は日本がリーダーシップを発揮して、AIに関しては事前にG7である程度、合意を進めればいいのではないでしょうか。
飯田)日本が。
クラフト)議論を始めることは大事です。あとから修正することも重要ですが、大切なのは、事前にある程度のガードレールを設けていくことです。これをG7で共有する。それが今度はG20、そして世界に波及していくと思うので、重要なテーマです。
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