イスラエル・ネタニヤフ政権 「地上侵攻をしない」という選択肢はない

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慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が10月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエルによるガザへの地上侵攻について解説した。

イスラエル軍の空爆を受けるパレスチナ自治区ガザ(パレスチナ自治区)=2023年10月9日  AFP=時事 写真提供:時事通信

イスラエル軍の空爆を受けるパレスチナ自治区ガザ(パレスチナ自治区)=2023年10月9日  AFP=時事 写真提供:時事通信

イスラエル首相がガザへの地上侵攻準備を言明

飯田)イスラエルとハマスの戦闘に関し、イスラエルのネタニヤフ首相がガザへの地上侵攻準備を言明しました。アメリカが必死に止めているように報じられていますが、どう見たらいいですか?

細谷)アメリカ政府とイスラエル政府の間で、地上侵攻についてはアメリカ政府、バイデン政権は「明確に反対」という立場ではありませんでした。「どのように実施するか」という条件を出していたわけです。人道的な支援を提供する必要があることや、一般市民の避難確保など、この問題をめぐっていま世界的に世論戦が行われています。

地上侵攻によるアメリカ・イスラエルへの世界的な非難を避けたいバイデン政権

細谷)中国は、ロシアとともにパレスチナ寄りの発言をすることによって、世界のなかで数多くあるアラブ諸国、あるいはイスラム諸国に寄り添う形で世論戦を主導しようとしています。

飯田)中国は。

細谷)それに対して、もしこのまま非人道的な攻撃が行われれば、アメリカ・イスラエルに非難が集中してしまう。それを避けたいというのがバイデン政権の意向だと思います。

イスラエルの安全を確保するためにも、地上侵攻をしないという選択肢はないネタニヤフ政権 ~そこの調整が難航

飯田)イスラエルからすれば、ハマスによって無辜の市民が拉致されたり、殺害されていることが許しがたい。その自衛措置そのものは否定し難いところが一方ではあります。

細谷)イスラエル側の一般市民の犠牲者数が多いこと、さらには、攻撃を許してしまったネタニヤフ首相に対して国内の批判が強まっているわけです。それに加えて、連立政権のなかでかなりの保守派が加わっている。

飯田)イスラエルの連立政権で。

細谷)ネタニヤフ政権としても、まずはイスラエルの安全を確保したいので、ハマスが再び攻撃しないような「措置を取らない」という選択肢はないと思います。イスラエルとアメリカの間で、その調整が難しかったのでしょう。

G7議長国としてイスラエル政府から現地で事情を聞くべき

飯田)上川外務大臣が11月のイスラエル訪問を調整しているという報道もありますが、日本は難しい立ち位置を迫られますか?

細谷)アメリカやヨーロッパと違うのは、そもそも日本国内にはユダヤ人人口がほとんどなく、これが国内政治ではないということです。それもあって、日本はやや動くのが遅かった。ウクライナに関しては、岸田政権は対応が早かったと思います。G7議長国としても今年(2023年)の1月以降、まさにG7を主導する外交を展開したと思います。

飯田)ロシアによるウクライナ侵攻に関しては早かった。

細谷)他国がこの問題をめぐり、それぞれ政府の立場を明確に立て、さらには現状がどうなっているかを直接見に行っている。同時にイスラエル政府から現状を聞くため、G7の多くの首脳、あるいは外相が現地訪問しているわけです。日本もG7議長国として、現地で事情を聞くことが重要だと思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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