ジャーナリストの佐々木俊尚が11月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエル・パレスチナ情勢への日本の対応について解説した。
イスラエル情勢への日本の対応
飯田)イスラエル情勢ですが、航空の定期便が10月末でストップしたこともあり、政府はイスラエルに残る邦人の方々に関し、自衛隊機での輸送を再度準備しているということです。
佐々木)これも動きが遅かったのが残念ですね。ハマスの攻撃が始まったとき、すぐ動いて欲しかったのですが、タイムラグができてしまいました。
飯田)最初の輸送は10月21日でした。
佐々木)今回は遠い国で、しかも飛行機のみの退避なので状況は違いますが、今後もし台湾侵攻が起きたら南西諸島にいらっしゃるたくさんの日本人をどう退避させるのか。民間ではその辺りのシミュレーションを行っていますが、国はどう動くことになっているのでしょうか。官房長官が熊本県知事に「南西諸島から退避する場合には、受け入れをよろしくお願いします」というようなことを言っていたので、体制の整えは進んでいるのだと思いますが、「いかに迅速に行うか」というところもきちんと考えて欲しいですね。
ハマス・パレスチナとイスラエルの問題は「ヨーロッパの帝国主義の名残」によるものでもある
佐々木)イスラエル・パレスチナ情勢に関するコミットは、日本の立場では難しいところがあります。日本を除くG7の6ヵ国が声明を出したり、日本は今回の国連の緊急特別会合の決議にも参加しませんでした。これに対して、「日本も積極的に参加するべきだ」という批判がありますが、一方でハマス・パレスチナとイスラエルの問題は、ある意味でヨーロッパの帝国主義の名残のような事件でもあり、「どちらが正義でどちらが悪」というものではありません。ハマスは一般市民を虐殺し、人質に取っているのですから、極悪非道極まりない行為です。
日本が軽々に「どちらが正義でどちらが悪だ」という議論に参加するべきではない
佐々木)一方で、イスラエルによるガザ地区への地上戦が始まっているという話もあります。そこで行われる残虐な戦争行為も批判されるべきです。日本としては、ヨーロッパの帝国主義によって起きた中東の問題には、歴史的にも過去、何のコミットもしていません。
飯田)そうですね。
佐々木)あまり軽々しくここに乗らず、「どちらが正義でどちらが悪だ」という議論に参加すべきではないと思います。今回、日本政府が国連の緊急特別会合の決議やG7の共同声明に参加しなかったのは、妥当な判断だったのではないでしょうか。
「両方に橋渡しをする」くらいの役割を保つのがいい
飯田)日本は原油の9割以上を中東に依存しているので、立場を異にするのは不自然ではない。
佐々木)「両方に橋渡しをする」くらいの役割を保つのがいいのではないかと思います。
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