日本経済新聞中国総局長の桃井裕理氏が11月16日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。中国の不動産バブル崩壊について、「習近平国家主席は前政権の宿題をこなしている。ただ、構造的な問題であり、たとえ西側の指導者でも解決は難しい」と解説した。
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中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信
大手格付け会社フィッチは13日、中国で住宅資産管理サービスを手掛ける碧桂園服務(カントリー・ガーデン・サービス・ホールディングス)の全ての格付けを12月12日か、その前後に取り下げると発表した。碧桂園服務は、経営難に陥っている中国不動産開発大手の碧桂園の系列会社。
桃井)中国の不動産市況は、とにかく良くないです。デベロッパーはどこも自転車操業ですから、頭金が入らなくなると一気に逆回転してしまう状況だといえます。デベロッパーの経営が悪いとなると、誰もが怖くて不動産を買えなくなります。買ったにもかかわらず、完成しないマンションがたくさん報じられています。自分が買ったマンションが完成しないと怖いと、買わなくなります。そうすると、ますます市況が落ち込むという悪循環に入り込んでしまっています。
桃井)中国の不動産不況は長引くと思います。というのも、解決の糸口が見えないからです。中国ではかつて、国や企業などが所有する住宅を国民が借りていました。しかし、鄧小平氏の改革開放により、全てを払い下げられました。現在の不動産不況は、この払い下げの延長にある問題だといえます。
当初、上手く渡り歩けた北京や上海の人は、不動産をたくさんもらいました。そのたくさんもらった不動産を種銭にして、北京や上海で不動産を増やしていきました。このようにして、庶民なのに1億円、2億円もする不動産を持っている人たちがいるわけです。背景には、不動産取得税がないことがあげられます。こうして格差が開いてきました。
この宿題を習近平国家主席がこなしているのは事実です。ただ、宿題をどのように解くかは、習国家主席が自ら「1強」の政権をつくったわけですから、自分一人で解いていかなければなりません。とはいえ、構造的な問題ですから、たとえ西側の指導者が解こうとしても、解決は難しいと感じます。