経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今年度の補正予算案について解説した。
今年度補正予算案、国会に提出 ~一般会計の総額13兆1000億円
政府は11月20日、新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案を国会に提出した。一般会計歳出は13兆1992億円で、低所得世帯への給付金やガソリンの補助など物価高に苦しむ家計への支援、半導体の生産支援などに充てる。政府・与党は11月中の成立を目指す。
飯田)昨日(11月20日)提出されて、きょうは衆議院予算委員会で審議されます。規模感なども含めていかがですか?
クラフト)経済対策など、例えば半導体生産への支援がいちばん大きいのですが、重要な政策が盛り込まれているにも関わらず、焦点がどうしても定額減税に向いてしまうのは非常に残念だと思います。
悪い予算ではないのに定額減税に焦点が向いてしまった
クラフト)もったいないですね。「説明がよくない」などと言われますが、そうではなく、これ以上説明できないのだと思います。なぜ人気がないかと言うと、国民に見透かされて、政策に賛同してもらえないからです。
飯田)見透かされていて。
クラフト)いくら説明しても、定額減税への賛同は得られないというのが実態です。来年(2024年)の予算の話になってしまいますが、定額減税はやめればよかったのではないかと思います。定額減税がなければ、他の政策により目が向くのです。決して悪い予算ではないと思いますが、どうしても焦点が減税に向いてしまうことが残念です。
「税を下げたり上げたりしている一貫性のなさ」が国民から支持を得られない理由
飯田)住民税非課税世帯への給付は7万円。そして定額減税は4万円。定額減税に関しては、2024年に法律を通して行われる形です。
クラフト)給付金に関しては、世論は支持していると思います。社会保障政策としてはいいのですが、来年の定額減税については、いま少子化対策のために公的医療保険の引き上げを検討したり、防衛費を増額しなくてはならないなかで、必要があるのかどうか。むしろ、そのお金をそちらに回した方がいいのではないでしょうか。「税を下げたり上げたりしている一貫性のなさ」が、国民の支持を得られない理由ではないかと思います。
飯田)税金を変えることになると、我々の生活にも直接、影響が出てくる。それだけに「どうやって使うのか」という哲学のようなものを語って欲しいけれど、なかなかそれも伝わらないのでしょうか?
クラフト)どれだけ伝えても理に適っていないので、受け入れられないのです。
党や税調に相談なく定額減税を公表した岸田総理
クラフト)今回、自民党の税調幹部とも話したのですが、政権が事前に党、あるいは特に税調への相談がなかったと言っていました。その結果、党からも見放されてしまった。党に相談しなくても国民に支持される政策ならともかく、(国民に)支持されない政策を党に相談もせず打ち出してしまったら、四面楚歌になってしまいます。政策もよくなかったし、やり方もよくなかった。ダブルパンチですね。
飯田)官邸と党との間のパイプ役は、官房副長官などの役割になりますか?
クラフト)そうだと思います。これまでは何とかうまくやってきたのですが、今回に限っては、その辺りで党との足並みが揃わなかったのが残念です。支持率がかなり下がっていて、危機的状況になってしまいましたね。
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