数量政策学者の高橋洋一が11月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2022年度の会計検査院の決算検査報告書について解説した。

2023年11月7日、令和4年度決算検査報告を受け取る岸田総理～出典：首相官邸HPより（https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202311/07kaikeikensa.html）

「税の無駄遣い」2022年度580億円　～約3割が新型コロナ関連

会計検査院が11月7日に提出した2022年度の決算検査報告では、税金の不適切な支出や無駄遣いを指摘した国の事業が344件で、金額は約580億2000万円となった。指摘件数のうち新型コロナ関連事業が3割を占め、緊急性の高さと裏腹に、チェック体制や運用面で不十分さが目立った。

飯田）コロナ対策における緊急性の部分ですが、当時は「まず出さなくては」と言われましたからね。

高橋）もたもたしていたらダメなので、「事後チェックに期待する」というのは、制度設計する際の前提でした。

100兆円の予算のうち1000億円が不適切支出　～0.1%は低すぎる数字

高橋）会計検査院の指摘金額を見ると、2020年度がだいたい2000億円で、2021年度が500億円、2022年度が500億円。この3年度で約3000億円です。3000億円で指摘件数の3割という数字を考えれば、1000億円ぐらいがコロナ関連だと思います。

飯田）約1000億円。

高橋）「100兆円を出して1000億円は低いな」と思います。0.1%と考えると少し低い。あんなに焦ってつくったのだから、「もっと高い数字を指摘してくれてもいいな」思いました。

飯田）確かに、金額で言われることが多いですが、比率で見ると。

高橋）100兆円のうち1000億円だと0.1%なので、「そんなことはないだろう」と思いました。

飯田）もう少し件数があってもいいだろうと。

高橋）会計検査院の人員が少なくて、「全部調べられていないのではないか」と思ってしまったくらいの数字です。数字が低いのがいいわけではないのですよ。要するに、「調べていないから低いのではないか」と感じるわけです。

ガソリン補助金による小売価格抑制に疑問　～間で業者が取るからガソリン価格に反映されない

飯田）いろいろな分野で指摘されていますが、各紙社会面で報じているのが、「ガソリン補助金による小売価格抑制に疑問」ということです。元売り各社に補助金を出し、それによってガソリン価格が下がっているとされますが、「支給に相当する額が小売価格に反映されていない可能性がある」とする調査結果が公表されました。「あれ？」という感じですね。

高橋）業者が取るからでしょう。

飯田）間で、ということですよね。

最終消費者への減税の方がすっきりする　～「補助金で配るのは手間が掛かって効果が少ない」と言われる1つの理由

高橋）最終消費者への減税の方がすっきりします。最終消費者への減税なら、そういうことを調べる必要はありません。

飯田）取っていた税金がなくなるから。

高橋）税金をきちんと取っているか調べるだけだから簡単です。補助金だと、「それがどこに行っているのか」を見なければいけません。「補助金で配るのは手間が掛かって効果が少ない」と言われる1つの理由です。

飯田）一方で、いろいろな方々に仕事が生まれますよね。店舗7割で小売価格と卸売価格の価格差が拡大したという報道もあります。であれば、当初から暫定税率の部分をまず削ればいいのではないか、あるいは消費税との二重課税をやめればいいではないかなど、いろいろ言われていました。

高橋）「簡単な方を選べばいいのに」と思います。しかし、新聞もこういう記事が書けているので、皮肉っぽく言えば雇用をつくっているのでしょうか。

飯田）これが全体の需要拡大になっているかどうか。

高橋）財政支出を見ると、世界の標準は減税系が多いのですよ。簡単で明瞭だからなのですが、日本だと8～9割は補助金系になってしまう。これは考え直した方がいいと思いますよ。