米大統領選にガザ情勢が与える影響 「バイデン大統領はクリントン氏の二の舞いになる可能性も。国内世論は世代によって異なる」専門家が解説

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アメリカ大統領選に詳しい明治大教授の海野素央氏が12月4日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの戦闘が2024年のアメリカ大統領選に与える影響について、「アメリカ国内の世論は世代によって異なる。バイデン大統領は、2016年大統領選でトランプ氏に敗れたクリントン氏の二の舞いになってしまう可能性もある」と解説した。

米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた集会で演説するバイデン大統領=2023年06月17日 写真提供:産経新聞社

米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた集会で演説するバイデン大統領=2023年06月17日 写真提供:産経新聞社

戦闘休止合意の期限が切れ、イスラエルとハマスの戦闘は再び激しさを増している。実はこうした中、ガザ情勢が2024年のアメリカ大統領選の行方にも大きな影響を与える可能性があり、とりわけ再選を目指すバイデン大統領の悩みのタネになっているという。一体どういうことなのか―。

海野)アメリカ国内では、特に若者がパレスチナに同情的です。アメリカの公共ラジオが行った最新の調査によると、アメリカ国民全体の61%がイスラエルに同情しています。一方、パレスチナに同情しているのは30%です。ところが、 18~26歳のZ 世代と、その上の年齢層である27~42歳のミレニアルを合わせると、イスラエル同情派は47%、パレスチナ同情派は50%と、逆転しています。

辛坊)なぜ、年齢の高い層でイスラエル同情派の割合が高く、年齢の低い層でパレスチナ同情派の割合が高いのでしょうか。

海野)第2次大戦時にアメリカが(ナチスドイツから)ユダヤ人を救えなかったことへの後悔が、年齢の高い層にはあります。これに対し、若者の多くには人権を重んじるなど、年齢の高い層とは違った見方をしています。ですから、軍事支援に関しても若者の間には削減を唱える人が多く、その結果、人道支援を支持する人が多くなっています。ですから、ガザ情勢を巡るアメリカの世論は、世代によって異なります。

バイデン大統領の支持層は、いわば“異文化連合軍”です。女性や黒人、ヒスパニック、LGBTなど性的少数者、アラブ系、そして若者です。したがって、若者らが2024年大統領選で投票に行かないと、バイデン大統領にとっては、誰もが勝利を確信していたクリントン氏がトランプ氏に敗れた2016年大統領選の二の舞いになってしまう可能性もあります。

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辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!

月~木曜日 15時30分~17時30分 

番組HP

辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)

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