国際政治学者で慶應義塾大学教授の神保謙が12月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。名護市辺野古の新基地建設に伴う地盤改良工事をめぐり、斉藤鉄夫国土交通相が玉城デニー知事に代わって沖縄防衛局の設計変更申請を承認する「代執行」について解説した。
辺野古沖の地盤改良工事、12月28日に代執行
沖縄の米軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古沖の地盤改良工事をめぐり、沖縄県は12月25日、裁判所が命じた工事の承認を行わないことを決めた。これを受け、斉藤国土交通大臣は県に代わって国が工事を承認する「代執行」を28日に行うことを決め、26日、県に通知を送ったことを明らかにした。地方自治法に基づく代執行は全国初の事例となる。
飯田)もともと福岡高裁那覇支部による12月20日の判決で、25日までに工事を承認するよう命じられていました。
ようやく大浦湾側の工事を進めることができる
神保)辺野古の工事に関しては、南部の埋め立ては進んでいるのですが、北部の大浦湾に軟弱地盤が見つかり、工事の基本設計を変更する必要があった。そこで県が承認を拒否し、裁判になった形です。これまで3年ぐらい掛かったと思いますが、ようやく今回、1つの決着がついた。当然、県は上告するでしょうから、最高裁で争われると思いますが、その期間、国の代執行で工事を始めることができる。県はそれを妨げることはできないので、ようやく大浦湾側の工事が進むと思います。
飯田)大浦湾側の。
神保)辺野古の移設は、当初の予定よりも10年ぐらい遅れていて、今回の工事が順調に進んだとしても、実際に移設が終わるのは2030年代半ばだと言われています。合意があったのは1995年の橋本政権ですから、「何十年やっているのだ」という話です。日本を取り巻く環境も変わり、海兵隊の役割も変わっているなかで、工事の遅れだけが目立っています。
「自由で開かれたインド太平洋」構想は日本の外交方針として根付いている
飯田)安倍政権で掲げられた「自由で開かれたインド太平洋」が、いまは「取り下げられたのではないか」などとも言われていますが、どうなのですか?
神保)自由で開かれたインド太平洋は、日本政府の外交方針として既に確立されていると思います。岸田総理も3月にインドで、インド太平洋に関する新たなプランを掲げており、日本外交のなかにしっかり根付いていると思います。
飯田)政権が代わっても、しっかり根付いて引き継がれている。
神保)それは間違いないと思います。特に世界中がいま、インド太平洋という構想のもと、この重要な地域を捉えようとしているので、日本外交にとっても素晴らしいインターフェイスになっていると思います。
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