数量政策学者の高橋洋一が4月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自衛隊輸送艦が沖縄本島の港に入港できずに混乱を招いた沖縄県の管理について解説した。
自衛隊輸送艦が沖縄本島の港に入港できず ~PAC3配備に影響
飯田)北朝鮮の軍事偵察衛星の打ち上げに備え、PAC3と呼ばれるミサイル防衛システムを南西諸島に配備し、万が一何か起こった際に対応する準備を進めています。既に浜田防衛大臣が「破壊措置準備命令」を出し、PAC3を移動させています。しかし沖縄メディアによると、PAC3を乗せた船が一時、沖縄本島の港に入港できなかったということです。
高橋)いろいろな理由があるのでしょうけれど、配備が最優先であることは間違いないと思います。
飯田)那覇港管理組合などに防衛省から、海上自衛隊の輸送艦「しもきた」を接岸させるため港を使いたいという打診があったけれど、民間の貨物船で岸壁が埋まっていて、受け入れできない状態だったということです。
破壊措置準備命令は有事での対応
高橋)有事の場合どうするのですかね。
飯田)「いまは平時だから」という考え方なのかも知れませんが。
高橋)有事ですけれどね。
飯田)破壊措置準備命令が出ているということは、有事ですか?
高橋)厳密に言えば平時かも知れませんけれど、これは有事の対応ですよね。
港を管理するのは沖縄県
飯田)法律上の建て付けとしては都道府県など、管理する市区町村・自治体のマターになってくるのですか?
高橋)なってしまうのではないでしょうか。何か不備があるのかも知れません。一般的に考えれば有事の場合、普通の国なら、諸法規はすべて「オーバーライド」と言い、上書きできるのです。
飯田)有事の場合は上書きできる。
日本の自衛隊は一行政組織 ~憲法改正に関する話になる
高橋)自衛隊は一行政組織ですから、そういう意味では全部上書きできて、一般的な民間と同レベルの扱いになるのでしょうね。
飯田)諸外国の場合は、軍隊になるから。
高橋)軍隊になっているから、まったく違う法規で従うというか、要するに、国際法のようなところにだけ従うのです。国内の法規については超えられるのですが、自衛隊は普通の行政組織と一緒ですからね。高速道路でのスピード違反もあるし、料金も払う形になっています。
飯田)緊急時の際であっても。
高橋)緊急という感覚がないのではないですかね。
海外の軍隊は国際法の「ネガティブリスト」に従い「やってはいけないこと」以外は何でもできる
飯田)緊急事態条項の話など、本来は憲法の話に……。
高橋)憲法の話になりますね。スーダンにおいての邦人退避の輸送についても、いろいろ法改正したから対応できたという解説ですが、普通は法改正しなくても「これだけはやってはいけない」ということが国際法で決まっていて、それに従うのが軍隊です。それだとかなり自由に対応できるのです。だから海外の軍隊は必ず国際法だけに従う。「ネガティブリスト」しかないのです。
飯田)「やってはいけないリスト」があって、それ以外は目的のために何でもやっていい。
日本の自衛隊は「ポジティブリスト」のなかでしか動けない
高橋)ただ、日本の自衛隊は行政組織だから、ポジティブリストにしなくてはいけません。だから、その都度、いろいろな場合を想定して法改正しなければならない。それだけでも大変ですよね。
飯田)日本の自衛隊は「やってもいいことリスト」のなかでしか動けない。
高橋)今回のスーダンでは、「やっていいことリストの内容を少し増やしたからうまく対応できた」という言い方ですが、それでは対応できないこともあると思います。
飯田)陸海空その他の戦力を放棄するという9条の規定を考えると、対応が難しい。
高橋)そうですね。あそこの部分を抜きにして自衛隊を位置付ければ、すっきりしますよね。
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