自民派閥問題 派閥を解消すれば混乱は大きくなる
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。初会合が開かれた自民党の「政治刷新本部」について解説した。
自民党「政治刷新本部」が初会合
飯田)派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受け、自民党は「政治刷新本部」の初会合を1月11日に開きました。
宮家)30年前にも似たような議論をしていたわけですよ。この問題は、結局は国民の間に政治不信があり、その象徴として派閥の問題があった。安倍派があれだけのことをやったわけだから、派閥に関して、何らかのメッセージを国民に出さなくてはいけないという政治的要求があるのはわかります。
ミニ保守政党の連立政権である自民党
ミニ保守政党の連立政権である自民党
宮家)しかし、「派閥を解消することができるかどうか」は気になります。派閥ができる理由をいくつか考えたのですが、まず、日本人は個人主義ではないので絶対に「群れる」のです。次に、では、個人主義のアメリカには派閥がないのかと言ったら、そんなことはなく、もちろん派閥はあります。
飯田)あるのですね。
宮家)リベラルもいれば、トランプ系もいます。ですから、その意味でも(派閥があることは)不思議ではないのです。第3に、200~300人もの集団のリーダーなどいないのです。人間集団は100人が限度です。逆に言うと、自民党は400人の議員による一党独裁などではありません。
飯田)議員のかたまりではない。
宮家)1955年、いわゆる55年体制以来、政権ではないときもあったけれど、自民党は基本的にミニ保守政党の連立政権だったわけです。そういう意味では、もし本当に自民党で派閥を解消して、完全になくしてしまったら、誰が党内のリーダーシップを発揮し、党としてどうやってものを決めるのか。むしろ混乱の方が大きくなると思います。
派閥同士でチェックアンドバランスを効かせてルールを守る形にした方がいい
宮家)国民に対するメッセージとして、派閥のあり方を「根本的に見直す」ということはいいのですが、それを「完全になくそう」という方向に持っていくのは、あまりよくないと思います。むしろ派閥同士でチェックアンドバランスを効かせ、間違ったことをしないよう、しっかりとルールを守る形にした方がいいのではないでしょうか。30年前ではないけれど、「派閥解消」に失敗すればまた毎年、総理が代わるような状態になるかも知れない。外交の世界で考えると、日本の国益にとってこんなマイナスはないわけです。
飯田)毎年総理が代わるようでは。
宮家)しっかりとしたリーダーシップがあり、安定した政権が運営されて物事が決められるからこそ、日本の言うことをみんな信用してくれて、それが日本の国益につながるわけです。もちろん、国民の間に政治不信があることは間違いないので、しっかりメッセージを出す必要はあると思いますが・・・。
透明性の問題であって、派閥の問題ではない
飯田)小泉進次郎元環境大臣は、「人事と金の部分を派閥から切り離して、純粋に政策を研鑽する集団にすればいいではないか」と指摘しています。
宮家)でも、いわゆる政策集団ということは、前も言われていた話ですよね。
飯田)派閥解消論が70年代くらいにもありました。
宮家)どうやってやるのか……。言うのは簡単ですが、派閥解消を本当にやるとしたら、自民党は独裁政党になってしまいます。むしろ、いい意味で連立政権なのだから、いまの段階では、派閥間のチェックアンドバランスを効かせた方がいいのではないでしょうか。
飯田)むしろ金の流れを綺麗にしていれば、別に問題はなかった。
宮家)問題の本質は、政治資金の出入りの透明性の問題であって、必ずしも派閥解消の問題ではないと思います。
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