いまから「トランプ氏再選」を恐れるNATO加盟各国
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双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が1月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ハンガリー首相が承認したスウェーデンのNATO加盟について解説した。
スウェーデンがNATO加盟へ 最後のハンガリー首相が承認
ハンガリーのオルバン首相が1月24日、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めると表明した。23日にトルコ議会が加盟を承認し、未承認の加盟国はハンガリーのみとなっていた。
飯田)フィンランドに続き、スウェーデンも加盟となります。
吉崎)ロシアからすると非常にまずい事態です。トルコは最初から条件闘争でしたから、エルドアンさんは「どのタイミングで許すか」と思っていたのでしょうね。面白いもので、全会一致の原則があるのですが、1人になってしまうと反対しきれないのですね。ハンガリーはもともと「最後の批准国にはならない」と言っていて、トルコとハンガリーの2ヵ国が抵抗していたけれど、最後は「スッ」と通ったという感じですね。
飯田)トルコはクルド人武装勢力の問題などで、彼らがテロ組織と見なす反政府勢力をスウェーデンが支援していると考え、「何とかしろ」と主張していました。しかし、関連する法律も通ったので「そろそろ手を打つか」という感じですか?
吉崎)ハンガリーがまた微妙なのです。NATOではないのですが、EUの議長は半年で順番が回る輪番制で、今年(2024年)の7月からはハンガリーが議長国になるため、「大丈夫なのか?」という話が以前からあります。
「NATOから脱退する」と公言するトランプ氏が大統領に復帰することをいまから恐れる欧州各国
吉崎)もう1つ心配なのが、今年のNATO首脳会議は7月にワシントンで行われることになっていて、アメリカが議長なのです。いちばんの問題は「トランプ氏が大統領になったら、来年(2025年)はどうしよう」ということです。
飯田)「NATOから脱退する」と言っていますものね。
吉崎)いまアメリカ議会でもいろいろ行っていて、(NATO脱退には)「上院の3分の2の賛成が必要」というルールを入れようとしています。みんな恐れをなしており、「アメリカが(NATOから)抜けてしまったら、ウクライナはどうなるのだ」という話にもなります。共和党の予備選挙、序盤戦はこういう議論にも影を落としているわけです。
飯田)もともとNATOの仕組み自体、「ヨーロッパを自分たちで守るのは難しいから、アメリカを引き込もう」というところから始まっていますものね。
吉崎)同盟とはそういうものです。「私はあなたを守るから、あなたも私を守ってくれ」という仕組みであり、「ロシアが怖いから」ということです。
ロシア大統領選でプーチン大統領が再選したらトランプ氏は何と言うのか
吉崎)例えば3月17日はロシア大統領選挙ですが、プーチンさんは再選するわけです。そこでトランプさんが何と言うのか。おそらく「おめでとう!」というようなことを発信すると思います。
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